愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ドローン騒ぎの流れ弾に当たる

イギリスのクリスマスは、日本の一昔前のお正月のようで、お店は軒並み閉まるし、なんと公共交通機関が全て運休する。クリスマスの1日だけではあるけれど、不備が無いようにしっかり食べ物をストックして、飲んで食べてプレゼント開けて家でゴロゴロ、飲む人はもうイブの日の高いうちからとにかく飲んだりしているようだ。

我が家はロンドンに越してきてまだ日も浅く身寄りも無いので(笑)核家族でゴロ寝クリスマス休暇と決め込んでいる。

仕事も数日前に納めてしまったので、実はクリスマス前に小旅行でもしようとホテルも飛行機も押さえていたのだけれど、出発3日前から始まったガドウィック空港のドローン出現騒ぎに巻き込まれてしまった。


日本ではどれくらいニュースになったかわからないけれど、滑走路や空港敷地内に誰が飛ばしたのかわからないドローンが侵入している、と騒ぎになり、これが飛行機に衝突するととんでもないことになるので、ホリーデーシーズンで人が一番移動するこの時期に、空港がガッツリ閉鎖されちゃったのである。

翌日にフライトは再開するも、再開30分後にまたドローンの目撃情報があり再度空港は閉鎖。こうなるともう誰かが意図的にフライトを妨害しようとしているのは明らか。前々から楽しみにしていたクリスマスの旅行が・・・自分達の結婚式会場に向かえない・・クリスマスに実家に帰るところだったのに・・・と空港にスタックしてしまった旅行者の悲劇のエピソードがテレビやネットでどんどん流れてくる。

ドローン見つけたらさっさと撃ち落とせばいいのに!などと思うものの、「流れ弾が他に被弾すると危険だから」と言う理由で手出しができない地元の警察。アメリカと違ってイギリスの警察官は基本丸腰、と言うのもあるが、はたから見ていると歯がゆい。こういう時はアメリカの荒っぽいやり方もたまにはいいのでは・・などと思ってしまった。

ドローン騒ぎの3日目。朝から空港は順調に開いていたので、夕方の便で出発の我が家、これは大丈夫そうと思ったものの、ゲートに向かう30分前にまたドローンが来たとかで、空港閉鎖の憂き目に・・・チーン

閉鎖は小一時間ほどで解除されたのだが(この時は空港に歓声が湧いた)、結局我が家のフライトは3時間遅れるとのことだったのでずっと待っていたら、数時間後にしれっとキャンセルされてしまった。翌日のフライトもいっぱい、もともと小旅行だったので日にちもずらせず、旅行は全てキャンセルに。空港でご飯食べて、床に寝転がって読書しに行っただけに終わった orz

しかしこの騒ぎの間じゅう、空港でのアナウンスもほとんどなく、航空会社のスタッフもおらず。大勢の人が座るところもないので床に座り込み、全て自分達でなんとか状況を把握して行動していた感じ。

最初に空港の様子が何かおかしい、というのを知ったのは、航空機の飛行系路をリアルタイムで追跡できる楽しいアプリFlightradar24の公式ツイッターからだった(実は飛行機見るのが結構好き、このアプリはおすすめ)


(ガトウィック上空で着陸できずに旋回しまくる飛行機多数、ガトウィックに離発着する飛行機なし)

その後も空港の公式ツイッターはアップデートされるものの、空港でのアナウンスはほとんど無しで、わけがわからなかった。あとはニュースやツイッター情報(デマっぽいつぶやきも含む)を見ていたが、こういうのをチェックする術があるのとないのでは、得られる情報の量が大違いすぎる。いいのかこんなんで。

フライトキャンセルの情報も、事前にインストールしていた航空会社のアプリ経由でお知らせがきたのでわかった。みんながじーっと見ている電光掲示板はその後30分経ってもアップデートは無し、遅延のままだった。

アプリがあったおかげで、返金処理もその場でワンクリックで済んだのでダメージはほぼゼロ。しかし空港から外に出る勝手がわからず・・。

インフォメーションデスクに行けと言われるも担当者が1−2人しかおらずこの有様。結局周囲の旅行者に聞きまくってあるゲートに行けばそこから出してくれることがわかり、到着ゲートを通過して出てきた。

空港にいただけなのに、入国審査をしないといけなかったのでちょっと旦那が切れた(苦笑)いったんセキュリティ通過すると、もう出国扱いなんですよね。

この騒ぎも3日目でみなさんある程度腹をくくっていたからか、やはりここがイギリスだからなのか、誰も騒ぐことなく、まさにKeep calm and carry onといった感じで、人はたくさんいるのに意外と空港が静かなのがとても印象的だった。

でもさすがに最後に空港からの出方がわからなくなってイライラする人もいて、酔っ払ったスコットランド人の女の子2人が大声出していたけれど・・。待っている間にパブでガンガンに飲んでずいぶん出来上がっている人も結構いたみたい(苦笑)

我が家は電車に乗ってサッと家に帰れる距離だったからよかったけれど、横で待っていたカナダ人の女の子は、夜中の2時に家を出て、バスで4時間かけて空港にやってきたらフライトがキャンセルされ、出発が夜の12時過ぎに変わったのでずっと待っている・・とのことで気の毒であった。無事にカナダに帰れたかな。

さてこのドローン騒ぎ、近くに住む中年イギリス人夫婦が誤認逮捕された挙句、何百件の目撃情報がある割にはドローンの目撃映像がないことなどから、「もしかしてドローンなどもともと来ていなかった可能性も否定できない」などと警察が発表、その後その発言が一人歩きしたのもあり撤回され・・・と訳のわからない状況になっている。現場近くに壊れたドローンが放置されているのが回収された、というところで話は止まっているけれど、それから進展がない。

テロリストだったら躊躇なく飛行機に突っ込みそうだし、環境団体の仕業ではないかなどと色々憶測はあるものの、動機も不明。これ、本来なら警察がシャーロックホームズに持ち込む案件かもしれないなあ。

おまけ:

ドローン騒ぎ3日目になってようやく軍隊が投入されたのだけれど、軍隊が使ったドローン対策技術はDrone Domeというイスラエルのものだったらしい。レーダー4基でドローンの侵入を探知、シグナルを妨害する他、レーザービームで破壊するバージョンもあるそう。イラクでモスル奪還の時にISISのドローンを攻撃するのに使われた技術らしい。イギリスはこのシステム、6台でお値段22億円ほど、を持っているそうな。って、そんなのがあるなら初日から持ってきてよ・・