愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

サムスミす

お友達が誘ってくれて、サムスミスのコンサートに行ってきた。しかも、初のロイヤル・アルバートホール。

さむすみす?とピンとこなくてもここらへんの曲は聞いたことがあるのではないだろうか、私も彼の曲はアメリカ時代に運転中のラジオで良く流れていていて認識した。あとこの歌はアニメ映画「Sing」でゴリラのジョニーがオーディションで歌った曲w

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BBCプロムなどクラシックのコンサートシリーズも開催されるこの場所、行きたいな行きたいなと思いつつ、中に入る機会が全くなかったのだが、とうとう行くことができた、しかもクラシックじゃないコンサートで!

1871年にできたホール、日本で言ったら明治3年からある。こういうコンサートだから、ファンがワーキャーしてごった返しているかと思ったが、円形劇場で至るところに入口があるせいか、ものすごくすんなりと入れて空いていた。

キャパは5200人ほどだそう。立派なパイプオルガンもしつらえてある。お友達がとってくれたチケット、普通の席だと思ったらなんとボックス席だった!

このホール、3-5階の層はみんなボックスっぽくなっている。階段を上り、あれ?私達の席は?違うところに来ちゃった?と少し迷っていたら係の人が私達のボックス席のドアの鍵を開けて入れてくれた!ヒョー!

ボックス席ゆうたら、後ろから売れない俳優に銃で撃たれて暗殺されるやつや!!(大統領じゃないから大丈夫)

後ろには荷物も置けるし、注文すると食べ物も持ってきてくれる。この席は4人席で前列の椅子はカップルが座ってた。

さてサムスミスである。

登場はStay with meで、やはり前奏がなるとうわーーーっと会場が盛り上がり、そこにすーっとマツコデラックス風の衣装を着たサムスミスがやって来た。この登場する前、した後、歌い出す前のうわーっとなる空気感がなんともいえず、良い。良かった。観客は最初から一緒に合唱しまくりであった。


(ビデオはこのツイートに4個貼ってあるのだが、ブログからだと一個しか見えない。ツイートをクリックすると見えることでしょう)

サムスミスの歌は結構バラード風というかスローな曲が多いので、うわーっと踊りまくる感じではない。どちらかというとじわーと聴く感じが多い気がする。歌詞も結構悲観的受身的恨み的といっては語弊があるが、ハッピーでノリノリでキャッチーという訳では必ずしもない。そのせいか、ファン層も大暴れする感はなく、結構シビルな感じ。

でもそんな中でも結構好きな「Latch」を歌ってくれた時は、ビデオの通りサムがジャンプ!と煽るのを待つことなく、嬉しくて飛び跳ねてしまった。この曲はDisclosureというデュオとのコラボ曲なのだが、彼の曲は結構他のミュージシャンとコラボしたもののほうが好きかもしれない。

しかし最近のコンサートは、ビデオ撮るのがオッケーであるがために、ビデオを撮って記録に残しておきたい気持ちと、その場の雰囲気と音楽に没頭したい衝動との葛藤が生まれてしまう。ちゃんとビデオを撮りたいと思うと手ぶれを気にしてじっとしてしまうし、ワーキャー言うのもちょっと控えてしまう。そういう点、ちょっと自分の中で整合がつかなかった感がある。

今動画を見てみると、前列の人達もたいていは携帯をかざしている。前に座っていたカップルも、コンサート中はお互いのことそっちのけでじーっと座ったまま動画撮ってた時間が長かった(笑)隣のボックス席に座っていた人は、携帯2個使いでずっと撮影しておりまさかネット中継してるのか?という感じであった。コ

ンサートを楽しみたいのか動画を撮りたいのか、みんな両方うまいことバランスをとってやっているのか。でもやっぱり動画を撮っておいたおかげで後から記憶をよみがえらせてまた反芻するきっかけにはなっている。うむむ。ちなみにこのコンサート、TikTokでライブ中継もしていたそう。

さてサムスミス、デビュー当時は見た感じもイギリスの地方でも見かけそうな典型的なイギリス兄ちゃんっぽくも見えたのだが、ノンバイナリーだというのをカミングアウトし、今の一人称はthey/themである。だから日本語で書く時には彼とよんではいけないのかもしれない、でもそういえば日本語では一人称としてのTheyの訳はどうなってるんだろう?

そんなサムのコンサート衣装もなかなか良かった。途中シャツを踊りながら脱ぐサービスも(笑)、会場をゲイバーみたいにするよ!と言っていたけれど、そういえばこのコンサートに来ている人は結構年齢層高めで、レディガガのコンサートがハロウィンパーティーみたいになるのとは違って、特にそういうフォロワーがいてワーキャーする感じでもなかったかも。

とつらつら色々書いてしまったが、生サムスミは、本当に本当に本当にとても良かったのだった。変な話、プロのぶれない声、パフォーマンス、知っている歌好きな歌を同じ空間で本人が目の前で歌っていて、空気を伝ってその周波数にまるっと包まれている感は本当になにものにも代えがたい感覚がある。

最後は(比較的)新曲Unholyをバックダンサーとの振り付け付きでやってスパーン!と終わらせたのも良かった。フューチャリングされているキムペトラスはトランスジェンダーの歌手なんだそうで、チャートのナンバーワンを数週間獲得したこの曲は、ノンバイナリーとトランスジェンダーの歌手が初めて1位を取ったある意味歴史的な曲なんだって!ということで最後にトロフィーを持ってお祝いも。

カミングアウトしたのがいつか実はよく知らなかったのだけれど、以前みたインタビューでも特に最近はもっと明るくポジティブな感じの歌を作ってる、みたいなことを言っていて、実際以前は実らない思い・・的な曲が多かった気がするけれど、こちらはある意味吹っ切れて自分の欲望に忠実な感じの歌になっている。TikTokとかダンス曲としても最近よく使われてる気がする。

それにしても、こうやってトップノッチのパフォーマンスをぽっと見に行けるところは本当にロンドンの良いところだなあと思う。サンフランシスコも都会といえば都会だが、やはりそこを拠点にしている、という人はあまりいないのでどうしても郊外の大きなスタジアムでツアーで来る、みたいな感じだったから。