愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ポルトガルは良いその⑫:ベレン

リスボンから西、バスに乗ってちょっと行ったところにベレンという地区がある。歴史的な巨大修道院の建物があり、ベレンの塔があり、なによりパステル・デ・ベレンで有名。

自分の中ではこのパステル・デ・ベレンを食べに行こうというのがほぼ主目的だったが、大きな博物館もあり、大統領公邸もあり、あちこちある建物は世界遺産だしということで、花も団子も楽しめる風光明媚な場所。住むならこんなところにちょっと住んでみたいな、という気もした。

なにはともあれ、お目当てはこれ。いわゆるエッグタルト的なお菓子、ポルトガルでは一般的にパステル・デ・ナタと呼ばれるが、ここで作られているのはパステル・デ・ベレンと呼ばれている。が、団子部分についてはまた別のエントリーでまとめることとして、ここではベレンで楽しんだ「花」部分のことをつらつらと。

ベレンいいなと思ったのは、とにかくカラッと晴れた日に行ったからからもしれない。子供がサングラスを必要とするほど晴れ渡り、振り返ればこれ。本当にサンフランシスコに帰ってきたみたいだ。

そしてどーんと広がる、ジェロニモ修道院。とにかく長い。そして白い。この建物の白さが反射して、余計眩しい。が、それがなんだかとても良い。

このこまごまと手の込んだ装飾。世界遺産なだけある。バスコダガマエンリケ航海王子の業績をたたえて作られたものだそう。

1501年着工、完成は100年後。雪舟が絵を描いてたりした時代らしい。

アフリカやアジアなどとの交易で得た莫大な税収でもって作られたので、金に糸目をつけずに作られたそうで、この細かい装飾は圧巻。

バスコダ、ガマやんもここに眠っている。

ヨーロッパに住んでいる弊害(?)は、立派な大聖堂を見る機会が多くて、だんだんどれも同じに思えてくることではあるのだけれど・・・。しかし昔の人にとってみれば、こんな聖堂の中に入ればその非現実的な世界に畏怖の念をもっともっと感じただろうな・・。

さらに西へ、住宅街的な場所も抜けて歩いて行く。途中学校があって小さい子供達がきゃいきゃい言っている声も聞こえて来る。

ベレンの塔があるテージョ川沿いの緑地公園、近くには洗濯物を干してある古い民家と、まるでCGで描いたような現代の建物が共存

不思議な高低差のこんな家も。なんだろう、立ち退きに応じなかったとかそういうのなのかな。

海のようだが実は川。とはいえ河口に近いのだけれど

ベレンの塔は、ここから海に出入りする船の監視や税関業務などを行った要塞。

かなりざっぱーーん!と周囲の波が強くて、一瞬不安になったけど、もう何百年もここにどっしり構えている。

数階建てになっている中には大砲がしつらえてあり、暖炉のある部屋、人が集まり話ができるように石づくりのベンチがついている部屋、王室の人がつかう部屋やチャペルなどもある。とはいえ備品も装飾品も何もないので、全て石造りのがらんどうとした部屋。昔はここに人が詰めて、硬い石の上で眠ったり、やってくる船をじっと見つめたり、波風にあたったりしていたのだろうな。

水辺に座ってゆっくりと最後のポルトガルの風と太陽を浴びて、雰囲気に浸りたかったものの、塔の前ではストリートミュージシャンがディズニーの歌を歌い続けるのが多少興ざめであった。