愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ゴホンと来たらチクリ

先日頂いたNTK氏の美味しい手料理、ワインが進みまくってしまい気がついたらグラスに2杯ほど飲んでました。帰ってそのままカウチで寝落ち(弱い・・・)。翌日もなんだか調子が出ない。午後になってこ、これは二日酔いかも・・と気がついた。二日酔いになるほど飲んだのなんて、子供が生まれるずっと前以来何年ぶり?(って、ワイングラス2杯分なんですが・・)

それにしてもその翌日になっても調子が戻らない。午後になってこ、これは風邪・・?とようやく気がついた。ありゃー。

なんだかんだいって風邪を1週間ほど引きずってしまいました。最後のほうには喉も潰れて超ハスキーボイスに。それもなかなか戻らず。ありゃー。

アメリカではちょっとの熱や風邪位で医者に行くことはあんまり無いです。診てもらうのも高いし(っていっても2000円位ですが)、薬と言ってもドラッグストアで買えるような薬を飲みなさい、って言われる程度だし。行くとしたら抗生物質がいるような場合ぐらいかも。子供の時は熱でフラフラなのに歩いて医者に連れて行かれて余計悪化、なんてこともありましたが、風邪の時は水分とビタミンしっかりとって寝るのが一番いい、というスタンスに変わってきました。

とはいえ、今回の風邪は熱も出ずにグズグズなのがかえってしんどく、何もせずにはいられなかったので鍼に二度ほど行きました。小さいさんを妊娠して以来、ちょっと調子悪い時は医者よりまずは鍼に行く、という感じになってきているかも。妊娠中、坐骨神経痛になってしまい歩くのも辛いのに、産婦人科医には『子供が生まれるまでガンバレ』とだけ言われ絶望的になっている時、初めて鍼治療に行ってみたら一発で治って以来、なんかよくわからないけど中国4000年の歴史侮れねー!まじでスゲー!ってことでお世話になっています。

ただアメリカの鍼って結構お高い。保険が効かないところもあるし、そうすると大体一回6000円〜9000円ぐらいする所も。あんまりしょっちゅう行けないよなぁ、と思っていたのですが、ちょっと前に地元アラメダで気軽に通えるところを見つけました→Alameda Community Acupuncture

鍼治療がお高いのは完全個室で先生が一度に最大2人ぐらいしか診れないから、っていうのもあるっぽいですが、ここは広いフロアにリクライニングチェアーとかがだーっと並んでいて、10人までいっぺんに診てもらえるようになってます。パーテーションも無い、オープンな作り。でも椅子同士の間隔はとても広いし、ちょっと電気を落として、リラックスできるような音楽がかかってます。

鍼の先生は毎日日替わりの当番制。ここに来ると、まずは料金を前払いで料金箱に入れ、好きな所に勝手に座ります。そうすると先生がすーっとやってきて、どういう症状があるのかをヒソヒソ声で聞いてくれます。で、喉が痛いだ眠れないだなどヒソヒソと相談すると、それではとその場で鍼を打ってくれます。毎回結構患者さんが来てるんですが、意外と気になりません。ただし、鍼を打ってくれる場所は、手足頭など服を脱がなくてもいい場所に限ります。でもちょっと腰痛が・・っていう時も、手足にそれに関係するツボがあったりするようで、そこにちょいちょいと鍼を突き立ててくれます。

大体1時間ぐらい鍼を刺されたままぼーっとして、もうそろそろ帰りたいな〜と思ったら軽く「咳払い」をすると、受付に座ってる先生がドアを開けて部屋にすーっと入ってきて(ちょっとした咳払いがなぜそんなによく聞こえるのかは未だに謎)鍼を取ってくれて、おしまい。

ここの鍼のいいところは、Walk-inでもすぐ対応してくれること、オンラインでさっと予約ができること。椅子が10個もあるので空きは必ずあるので、思い立ったら10分後にでも鍼に行けちゃう。先生も若い人ばかりなのですが、その分話が通じて安心できるのも良い(中国人の年配の先生とかだと、英語がどこまで通じてるのよくかわかんない時とか、あっちが説明を端折りすぎて不安になることも・・)。

そしてお値段が非常にリーズナブル。スライディングスケールといって、初診は27〜50ドル、その後通常は17〜40ドルの中から、「自分が払える値段を自分で決めて」支払えばいい、という仕組み。えー自分で値段決めていいの?!と最初はちょっと迷いましたが、今はお仕事もしてないので、1回20〜25ドル位払っています。この「スライディングスケール」って確か子供の頃読んだかこさとしの絵本「にんじんばたけのパピプペポ」にもあったシステムだよな!子豚たちが人参を売るのに、

おかねもちからは 10えん、
ちゅうぐらいの かたからは 5えん、
びんぼうな かたからは 1えん』
 
と値段が変動制になっていたのが子供心にへぇー!って思ったものです。そういえばこないだ行ったユザーンの演奏会も、値段が決まってなくてスライディングスケールでした。


てなわけで、頭から顔から手足から鍼だらけになって、向こうに座ってるおばちゃんが大いびきかいているのを見ながら自分もうとうと。鍼って不思議ですねー、ツボにちょっとあんな細いのをさすだけで、なぜあんなにぐわーっと眠気というか異様なリラックス感が襲ってきたりするんでしょう。

鍼をやった翌日は症状がかえって悪化したりすることもあるのですが、瞑眩反応というらしい。坐骨神経痛の時特にひどくて、鍼治療を受けた翌日は痛すぎてもう歩けない、という位だったのに、その翌日にはピタッと痛みがゼロになったのには驚きました。今回も鍼に行った翌日余計しんどくなり、一日ベッドに寝たきりに。どうも風邪をひくとゴロゴロしながらついネットしたりテレビを見たりしてしまうのですが、その日は意に反してものすごく重い眠気が襲いずーっと寝ていました。そしてその翌日にはまだ完治とまではいかないものの、随分スッキリして元気になりました。

鍼ってほんと不思議。それこそ中国4000年の歴史の中で色んなTry and errorがあってノウハウが確立されたんでしょうねぇ。その間には変なツボに鍼をさされて大変なことになっちゃったお気の毒な人もいたかもしれない。鍼といいツボといい人の体って不思議ですが、何はともあれ値段も雰囲気もコミュニティ感満載のコミュニティ鍼、ちょっとしんどい時にオススメです。