愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

プロジェクト・エルサレム


ちょっと前から色々なところでレビューを目にしたこの料理本。大昔に旅したイスラエル、特にアラブ側で食べた野菜の美味しさが忘れられない。気になっていたところで本屋で手に取る機会があり、思わず購入。


Jerusalem: A Cookbook

Jerusalem: A Cookbook


この本の背景をあまり知らずに買ったのですが、ロンドンでデリ・カフェ「オトレンギ」とレストラン「Nopi」を展開している、オトレンギさんとタミーミさんというお二人による料理本。オーガニックの美味しいスイーツを出すお店として有名っぽいです。この2人、どちらもエルサレム出身だそうで、そんなこんなで故郷の味やそれにアレンジを加えた料理のレシピが満載なのですが、何がすごいって、オトレンギさんはエルサレム出身のユダヤ人。そしてタミーミさんはエルサレム出身のパレスチナ人。そんな2人が別々にロンドンに渡り、そこで出会い、一緒に店を出しちゃっているのです。そして2人ともゲイなんだそう(パートナーは別々にいるらしい)。どうですかこのシチュエーション。多分イスラエルにいたらありえなかったんじゃないだろうか・・・。もうそれだけですごい!素敵!と思ってしまいます。


ユダヤだアラブだというけれど、食文化を見てみれば類似するところも多く、またそれぞれに違った部分もあり。世界中から集まったユダヤ人がそれぞれの土地で生み出してきた食文化も、イスラエルへの移民によってもたらされていたりするので、へーイスラエルの食べ物?ユダヤ人の食べ物?と思うかもしれませんが、それはなかなか多彩です。


・・・ってなわけで、どのページを見てみても美味しそう。ここらへんにも中東料理やは色々あるけれど、シュワルマだケバブだファラフェルだで止まっている気がして、実際レシピを見てみても今までに想像もつかなかったような未知の料理が沢山。これは・・・もう全部作ってみたい!と思い、一人で勝手に「プロジェクト・エルサレム」を始めることにしました。映画にもなったジュリア・チャイルドのフレンチの料理本を全部料理しちゃうJulie and Juliaの話とか、うちの義理兄もアメリカの料理の鉄人マリオ・バターリのイタリアンの料理本を一冊全部料理したことがあり、自分もちょっとやってみたいなーと思ってはいたのですが、イタリアンもフレンチも、しょっちゅう食べるにはヘビーだったりするし・・・、となかなか全部作ってみたい!と思える本に出会えなかったのですが、中東・地中海料理は新鮮なお野菜をたっぷり使う料理。これならなんとかできそう?!


というわけで、料理したものは陳家食べ物ブログにちょこちょこアップデートしてるのですが、きっと日本でのほうがイスラエルの料理って知られてないに違いないと勝手に思い、こっちにもちょこっとコメント付きでだーっと紹介してみようかと思います。


ナーマさんのファトゥーシュサラダ



夜に携帯で撮ったのでちとぼやけてますが・・キュウリ・トマト・パセリなどを細かく切ったおなじみのサラダ。タミーミさんのお母さんのレシピ。通常カリッと焼かれたピタパンが砕いて入れてあることが多いけれど、これは焼かずにバターミルクでしっとりさせて入れるのがミソ。上にかかっているのはスマックというもの。何かの実を粉にしたものだそうですが、ゆかりみたいな味がします。これをふりかけ代わりにご飯にかけることも・・・。


バターナッツかぼちゃと赤たまねぎのロースト、タヒニソースとザータ和え



冬頃からアメリカでも出回る細長いカボチャ(というか瓜系なのかな)。普通はバターでローストしたり、ポタージュにするのですが、オーブンで赤たまねぎと一緒に焼いて、タヒニという胡麻ペーストのソースをかけるとあらまあ、これが合う!ザータはオレガノやタイム、マジョラム、胡麻などのスパイスミックス。中東料理によく使います。ピタパンの上にオリーブオイルとこのスパイスをかけて焼くだけでも美味しい。似たような感じで日本のカボチャと白ゴマペーストを和えてもいけるかもしれない。


いんげん豆のサラダ



色目の違ういんげん豆二種類と、色んな種類のハーブを混ぜたサラダ。レシピではえっこんなに!というくらい大量のハーブを使います。普段ちょっとしか使わないハーブを大量に消費できるのも楽しいしなんだか体に良さそうです。


スパイシーひよこ豆とサラダ



ひよこ豆を自分で初めて煮てみました。一晩水につけるのを忘れなければ意外と簡単な上に水煮缶と味が全然違う!!!甘みが・・・!!ここにオールスパイスを始めとする色んなスパイスを混ぜて味付けします。スパイシーというけどスパイスが色々入ってるだけで辛いわけではなく、子供のおやつにもピッタリ。これはリピします!


ムジャダラ



なんだか怖い妖怪の名前のようですが、アラブに伝わる古い料理。レンズ豆、バスマティ米をクミン、シナモン、ターメリックオールスパイスなどで炊き込み、揚げた玉ねぎをたっぷり。玉ねぎを油でしっかり茶色くなるまで揚げると、甘みがハンパ無い。エジプトで以前コシャリという類似する料理を食べたことがありますが、それは米、豆、さらにパスタも入り、揚げ玉ねぎの上にさらにスパイシーなトマトソースをかけて食べるというものでした。インドにもキチャリという料理があり、やっぱりここらへんはつながってるんだなと感じさせる一品。これも意外と難しくなく、伝統料理だけあってやっぱり美味しいのでリピ確定。


ローストカリフラワーとヘーゼルナッツのサラダ



オーブンでローストしたカリフラワー、セロリ少々、砕いたヘーゼルナッツなどが入ってます。味のポイントはシナモンとメープルシロップ!ご想像の通りちょっと甘目の味付けです。主食が甘い、というのはちょっとアラブっぽいよなと思ってしまいます。


バターナッツかぼちゃとタヒニのディップ



このカボチャと白ゴマソースの組み合わせはどうも黄金らしい。でこんなレシピもありました。これは上に、デーツシロップをたっぷりかけて、さらに甘くして頂きます。デーツシロップ、エルサレムプロジェクトを始めるにあたって買い揃えた数少ない中東ならではの材料の一つなのですが(他のスパイスはだいたい家にあった)、液体プルーンみたいな感じの味と質感です。これはお友達の家のポットラックに持参。


セモリナ、ココナッツ、オレンジのケーキ



中東料理の特徴は・・・デザートも激甘いこと。シロップ漬けとか蜂蜜がんがんかかっていて食べると頭いたくなることも・・・。このレシピは激甘ではなかったですが、セモリナ粉やココナッツ、マーマレードなどを混ぜて焼いたパウンドケーキ風の生地に、シロップをたーーーーっぷり染み込ませます。なので結構重たい。でもうまいけど。マーマレードは、お友達のももちゃんの自宅でとれたオレンジを、ももちゃんがコンフィにしたのを頂いて、それを刻んでいれてみました。シロップには、オレンジブロッサムウォーターという、オレンジの花の香りがする瓶詰めの水みたいなので香りづけがしてあります。これ、わざわざこのレシピのためにお友達が買いに走ってくれました。ありがたし・・。中東料理では他にローズ・ウォーターも使うのですがもう香りは香水というか化粧品そのもの。パウンドケーキ型2個分のレシピだったので半量でやってみたら、なぜか正しい型を使ったのに小さいケーキになっちゃったので、二度目にお友達の家に持っていった時には2倍でやってみたらちょうどよくなりました。



オレンジブロッサムウォーターをちょっとふりかけたヨーグルトとともに頂きます。


長くなるので次回に続く!