愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

 小さいさん、登場しようとする


出産予定日、11日前。まだまだ大丈夫だよな、と思いながらパロアルトでの友人の結婚式に出席。1曲だけダンスフロアでみんなと踊ったりしながら、おそらく最後のパーティーを楽しんでいたら・・・・・


トイレで軽―く破水。


ん?これって破水なのかな?という程度だったけれど、もうそろそろおいとましようと思っていたところだったし、時間制レンタカーで帰宅。その間は特に何もなく、帰り道よく眠った。しかし家に戻り、旦那が車を返しに行っている間に・・・あ、血だ!


既にまとめてあった入院バッグに、出発直前に入れるもの(ヘアドライヤーとか歯ブラシとか)を慌てて詰め、医者に電話。生憎週末の夜だったため、かかりつけではなく当直の先生につながる。状況を説明すると、じゃあ病院に行ってください、とのこと。タクシーで向かう。とうとうやってきたか・・・妙に冷静。


夜間入り口から入るとセキュリティのおじちゃんが「やあお三人さん」と言ってウィンクをする。病院は事前に登録してあったので、すでに入院に必要な情報などはプリントアウトされて書類が用意されていた。そのまま診察台へ。この時点で、なんとなくむおーんと生理痛っぽい感じになっている。そしてトイレに行きたくて仕方がない。しかし、ちょっと破水しているけれど、子宮口がまだ3センチ。病院スタッフが当直医者に電話をして、一度家に帰って、朝6時ぐらいにまた来てください・・ということになった。ええーーー。でもまあ普通に私もしゃべっていられる感じだし、まだまだなのかなあ・・隣の診療ブースにいる別の妊婦は、結構進んでいるらしくてうんうん痛がっている声が聞こえる。やっぱり痛いんだ・・・あんな風になっちゃうんだろうか、いやだな・・・と思う。タクシーを呼んでまた帰る。


家に帰ったらどんどん痛みが。陣痛ってどんなのだろうとずっと思っていたのだけれど、陣痛というよりは・・・


運子がしたくてしょうがない感覚。


なんともいえない感覚に実際なんどもトイレに行き、そこで痛くてうんうん言うことが何回も。よく考えると、これは以前エヂプトで食べ物にあたったときの感覚に似ているかも・・・・。ものすごいヒドイ下痢でお腹が痛くて、お尻の穴がとても悲しい感じでシクシクする感じ、でも何も出ない感覚(苦笑)。それに加えて、ヒドイ腰の痛みが伴なう。


ベッドに横になれれば良かったのだけれど、マットレスが妙にやわらく感じて無理。深呼吸もしようとするものの、小さいがまだ胃のあたりでもぞもぞしているようで、深い呼吸がしにくい。出産クラスで、アロマオイルを使ったり音楽をかけたり深呼吸をしたり・・と色々痛みを逃す方法を習ったのに、そんなことしている余裕がない。ベッドの上に座って、痛みが来るともう体を動かせない。腰の後ろには、マッサージ用のぐりぐりを自分で置いて、なんとか痛いのをやりすごす。こんな体勢で夜を明かさないといけないのかと思うと絶望的なきもちになる。


旦那が足をマッサージしてくれると、痛みが弱まる。しかし痛みがひいて旦那がマッサージをやめるとまた痛みがもどってくる。陣痛が5分間隔になったら病院へ、ってよく言うけど、ほとんど途切れなく痛みが来る感じ。もうあかん、と旦那がもう一度病院に電話。こんなに痛いのに病院の人は私と代われというので、息も絶え絶えに応対する。朝4時に病院へ。


タクシーが捕まるかわからなかったので、旦那がまた時間制のレンタカーを借りてきて、荷物をまとめて病院へ。着替えるなんて到底むりで、パジャマのまま車に乗り込む。旦那は何を思ったか、サスペンションが滅茶苦茶硬いサイオンを借りてきたので、病院に着くまでの10分間、サンフランシスコの坂と、道のボコボコの衝撃が全身に伝わってきて地獄だった。ゆっくり運転してくれるものの、信号で急発進とかされるので、痛みで悲鳴をあげてしまったほど。この病院への道のりが一番死ぬかと思った。もう絶対サイオンには乗りたくなーい!


元気に歩いて受付に行った一度目とは大違いで、今回は半分意識朦朧としながら車椅子で診察室へ。ええ自分で立って診察台に乗れってか?!さっきひいひい言っていた妊婦に私がなっている・・痛みが多少引いたところでものすごい勢いで診察台に飛び乗ったら腕の筋肉がつってしまった。この時点で子宮口5センチ。無痛分娩?麻酔はいりますか?と聞かれてぶんぶん縦に首をふる。このあと分娩室に行ったらすぐ麻酔医が来るよう手配してくれる。とりあえず点滴から痛み止めを入れますね・・と言われたけれど、ぜんぜん効いてなーい。自分が痛いのびびりだとはわかってはいたが、全く耐えられない痛みではないものの、この痛みに長時間お付き合いするのはやっぱり避けたい・・・。


分娩室の移動は車椅子。またこの高い台から自分で降りるのかーこのままベッドを転がして連れていってくれよー(泣)どうやって分娩室に行ったかは記憶なし。この間も、陣痛はずきずき痛いというよりは、すごい嫌な感じのものすごい便意が続く感じであった。分娩室はジャグジー付きのご立派なお部屋ではあるけれど、そんな施設を使う余裕も全くなく。


しかし間もなくしてちょっとプリンス風の麻酔医が登場。また痛いところでベッドに座って背中を丸めろとなー。鬼―!!しかし背中にちくっと何か感じたと思ったら、あーら不思議あーっという間に痛みがなくなったじゃあーりませんか!痛くて話も出来なかったのに、次の瞬間には「先生こりゃ魔法の薬だね」などと軽口を叩く余裕が(苦笑)。 こりゃええ、こりゃええ、麻酔バンザイ。


腕には血圧を図る機械、陣痛と小さいの心拍を図る器具をお腹に付けられ、さらにトイレに行けないのでカテーテルを付けられる。これがいわゆる下半身不随プレイか!お尻の周りの、出産に必要な筋肉を動かそうにも動かせないくらい不随系。さらに私は38度ぐらいの熱が出ていたようで、念のため抗生物質も投与された。この時点で朝の6時ぐらい?


11時ぐらいにプッシュをはじめましょう、というので、その間しばしの休息。陣痛がくるとモニターの針がぐわーっと動いているようではあるが、なーんにも感じない。快適快適・・・。しかし興奮しているのか簡単には眠れず、持ってきた携帯で実家にメールをしたり、つぶやいてみたり・・・。妊婦のみなさん、病室に携帯を持ち込むのはいいけど、やっぱり優先度を考えて、寝れるときに寝ておけ!!と今となっては言いたい。


結婚式のダンスフロアで破水したら面白いのにー、なんて言っていた花嫁のAちゃん、ダンスフロアじゃなかったけどあんたの夢はかなったよ。また結婚式の翌日、友人Tちゃん達とブランチ、その後別の友人J君とディナーをするはずだったのに、全てキャンセル。友人J君は、先週も別の妊婦の友人Sちゃんとご飯を食べる約束をしていたら、その日に彼女に陣痛が来てしまい、ディナーを食べそこねたというエピソードが・・・。これで私も陣痛が来ちゃったら笑えるね、と言っていたのだけれど、それが現実になってしまった。この後、J君には歩く陣痛誘発剤というあだ名が付きました(笑)


・・・続く