愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

オツベルもびっくり

食べ物ブログは別にあるけれど、やはり旅で印象的だった美味しいもののことは、こっちにも書いておこうと思います。


ドゥオーモ近くにある、ミラノ料理屋さん。質実剛健、昔から変わらない・・という感じのお店です。おそらく日本のガイドブックにも載ってるんでしょう、日本人観光客の姿もあり、トイレには「お手洗い」の張り紙もあり。


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お昼時、近くで働いている地元のおじ様たちもやってきます。ミラノって、ファッションとかの街でもあるけれど、証券取引所もあるし、金融の中心地でもあるんですよね。背広でびしっと格好よく決めたビジネスマンの姿も多かったです。レストランできちっと昼も食事を取るのはさすが。まさしくこれぞパワーランチ!という感じで、4人ぐらいのおじさんが、それこそテーブル半分ぐらいの大きさの大皿に、山盛りになったシーフードのフリッターを食べてるのを見たときには驚いたというよりおののきました。昼にこんなに食べたら絶対後で眠くなるよ・・・。


陳家はまずここで「苦いでしょー」とお店の人に言われたが結構気に入ったラディッキォのグリルを前菜に頂いてから、


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お目当ての「ミラノ風リゾット」を!どーん!!!


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この黄金に輝く美しいリゾット。陳家所有の、伝統イタリア料理の料理本に載っていて、ずっとあこがれていたのです・・・。黄金なのは、私の大好きなサフランが入っているから。味付けは牛、または鶏のスープ、そしてバター、チーズとサフランと、至ってシンプルなのですが、味わいはなんともいえない深さがあります。このお皿、旦那とシェアしたのですが、実際にはあんまり大きくなかったので、まずお皿が来て最初にやったことは、リゾットの真ん中にスプーンで境界線を引くこと(笑)。その後は、半ば放心したように、無言で、しかしゆっくりと、本当に一粒一粒味わって食べました。一皿を二人で食べるのに、こんなに丁寧に時間をかけて食べたことは無かったのではないだろうか・・・。この時間が本当に終わってほしくない・・・・


しかし、そんな至福な時間はここで終わらなかったのでした。次にお出ましたのは、ミラノ風カツレツ!!どーん!!!!!


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昔国語の教科書に載っていた「オツベルと象」に、オツベルが「六寸ぐらいのビフテキ」だの「雑巾ほどあるオムレツ」を食べるなんてくだりがあって、六寸だとか雑巾だとか、どんだけー?と思っていたものですが、このカツレツは、確かに雑巾ぐらいの大きさ、あります!お肉をたたいてたたいて、薄―くしてあるのが特徴。そしてカリッとあがっていて、重たくない。確か1度油で揚げてから、オーブンで焼くんだったと思います。これはミラノ風カツレツ、ですが、村上春樹のエッセイに、ロンメル将軍が食堂車でウィンナー・シュニッツェルを食べるシーンがあって、それも美味しそうだったのも思い出す。夢のカツレツ・・・・


隣に座っていたポルトガルカップルが「パスタばかり食べて疲れたのでたんぱく質がとりたい。それは何という食べ物?」と興味津々。イタリア語では、コトレッタ・アラ・ミラネーゼ。アメリカにもあるけど、やっぱり何かが違う。


本当に美味しいものを食べたときって、「あ、おいし。」というのとはまた違う、静かに神様が降りてきたような、間違いの無い、静かだけれど衝撃的な感覚があったりするものだけれども、このミラノ料理は、まさしくそんな忘れられない味のひとつになりました。ああ、美味しかったです、サンタマリア。