愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

内なるインドその2


実は隠れ?インド映画好きの陳家。なぜかあんまり声を大にしてインド映画を結構見てます、と言えない。週末の朝、我が家ではケーブルテレビで何となくインド芸能情報チャンネルがついてるなんてことも・・・。友人や同僚など、私の周囲の「インド人」はインド人というよりアメリカ生まれのアメリカ人ばかりなので、ヒンズー語も故郷の言葉もろくに話せなかったり、中にはインド料理が嫌いなんて輩さえいるので、彼らにも理解されず、かくして我が家はこそこそとインド映画を見るのであった・・。


これ、去年のディーパヴァリ映画として大ヒットして、どうしても見たかったのに、車で1時間のところにある地元のインド映画館では夜11時からの上映しかなく、さらにカストロにある映画館でも1日しか上映されずに涙を呑んだ映画。DVDでようやく見れた!


Om+shanti+Om


舞台は30年前ぐらいのインド。超有名な女優のシャンティと、しがない脇役俳優のオム君が、ボリウッド太秦映画村みたいなところで出会うのだけれど、まあ色々あって二人とも死んじゃう(というか殺されちゃう)。で、都合よく現代のインドに「輪廻転生」したオム君が、二人の死の真相に迫る!というお話。


話のシチュエーションは、アメリカ映画のぱくりだなぁ(死んじゃった二人が輪廻転生して、真相をあばく・・という話の映画があるらしい)、なんて旦那は申しておりましたが、時間を越えて映画にかかわる人たちが主人公(オム君は前世ではしがない脇役だったけど、現代では、バリバリのバリウッドスタアに生まれ変わるのだ)ということもあって、古きよき時代から現代のボリウッドまで、いろんなオマージュがあったり、パロディがあったりして楽しい。特に実際のボリウッドスタアが本人役でものすごい数登場していて、さらに自分のパロディをやってしまうところなどはかなり笑えます。ディーパヴァリ(日本の正月みたいなもん)映画だけあって、セットも衣装もきんきらきんで目にも楽しい映画。


そして主役のシャー ルク カーンのかなりナイスバディも(笑)


インド映画って、アクション、ロマンス、コメディと1本の映画にすべての要素が入っていることが多いので、バリウッドスターってただ格好いいだけでなくて、結構アホな演技もいけちゃうところが、なかなかよいと思います。この一見格好いいビデオも、実は映画の中では「ボケ」的要素として使われております。


インド映画って、悪人はとことん悪い人と描かれていて、最後にものすごい成敗の仕方をされちゃったりするところがすごい。いくら「因果応報」だといってもそりゃないよ、というくらいすごいときもある。この映画でも、そんな要素がそれなりに。あと主人公のオム君はシャンティに使われただけ?なんてちょっと思ってしまうところもございましたが、全体的によかったです。最後のエンドロールでスタッフが続々スクリーンに登場するところも、映画っていいねぇ、と思わせます。


さて陳家がインド映画を見るようになったきっかけは、やっぱり「踊るマハラジャ」のおかげさまです。日本で流行ったというこの映画を「どれどれ」と旦那と一緒に借りて見て、あまりのベタさ、でもかなりすばらしいシネマトグラフィーに「うわっ、なんじゃこれは!!」とノックアウトされ、あまりのショックにDVDを買い込み、繰り返し見るまでに・・・。



そしてこの映画に主演しているのが、タミル映画のスーパスター・ラジニカント。彼が主演する映画では、クレジットはちゃんと「スーパースター・ラジニカント」と出てくるのだ(タミル語だと、スッペスタル、みたいな感じ)。「ボリウッド」はボンベイとか北のほうで撮ってるヒンズー語の映画だけれど、ラジニ様はタミル語圏、南インドのスーパースター。ほとんど神扱い。タミル人が多いマレーシアでも、ラジニ様のポスターがばんばん張ってありましたぜい。ラジニ様のすごいところは、これで今年御年59歳。しかしいつまでも30代という設定のスーパーヒーローを演じられ、ものすごい歌やアクションシーンをこなされているところでございます。ボリウッドにも、アミタバ・バッチャンとか、貫禄のある映画スターはいるけど、いつまでも若者のスーパーヒーローとして何十年も主役を張り続けているラジニ様はすごい。


実際には御年相応でこんな感じなんだけれど


Rajni


かつらとメイクでこんなに大変身!


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これを知ったときにはかなりショックでしたが、こりゃすごい。ほとんど変装というか特殊メイクというか。


そんなラジニ様の最新作「Shivaji the Boss」もとうとう入手!


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この映画も、クアラルンプールのインド人街にポスターが貼ってあって、見たいみたいと思いつつ、なかなかDVDが出なかったのだけれど、最近とうとうリリースされたのを、ようやく入手。この映画もかなりすごい。ラジニ様の今回の設定は、「アメリカ帰りのソフトウェア・エンジニア」。うーん、シリコンバレーにいっぱいいるぞ。厳密には、「ソフトウェア・アーキテクチャ」なラジニ様。貧しかったところを、奨学金でアメリカに留学して大成功、それでもってバンガロールに甲子園が4つぐらいは入りそうなお屋敷を建てている・・・・。いくら給料がいいエンジニアだってアリエネェ!とは思ったが、IT業界にいる義理兄によると一昔前のソフトウェア・アーキテクチャの年収は1500から2000万円ぐらいはあったらしい。でも物価が急上昇しているバンガロールで、こんな豪邸はやっぱりアリエネェ!?


大成功したラジニ様、有り余る財産で、無料の病院や学校を作るべく、財団を設立するのですが、ここで立ちはだかるのが、賄賂を要求しまくるインド官僚の壁、そしてラジニ様の成功をねたむライバルの邪魔。色々あって怒り狂ったラジニ様、インドのねずみ小僧となるべく、正義のために裏金を巻き上げ、マネーロンダリングやら色々悪事に手を染めつつ、敵をやっつけちゃう。さらにインド政治から腐敗をなくしてインドを繁栄させちゃうぜ!というある意味いつもどおり突っ込みどころ満載の映画でございます。


このほかにも「清楚なタミル人の奥さんを見つけるためにお寺でガールハント」
「ラジニ様、この御年になってもレゲエやヒップホップに挑戦」
アントニオ・バンデラスをパクリまくりな歌とアクションシーン」
「ソフトウェア・エンジニアがなぜこんなにマーシャルアーツに長けている?やっぱりそれはラジニ様だから。」
などの見所が満載。最後悪人はやっぱりぼこぼこにやっつけられて、安心しつつも、うーんここまでやるか・・とも思ってしまうけれど、やっぱりラジニ様最高です。ラジニ様の映画の中で、最高の悪役をやってきた、今は亡きラグヴァランが良い人役で出ているのも何か泣ける。「Om Shanti Om」でもしっかり、ラジニ様のパロディがあって、それもかなり笑いました。