愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ふんばっても出ない


室内楽の次はソロのレッスン。正直会社が終わってからさらにバスを乗り継ぎレッスンに行き、遅くに帰ってくるのはしんどいものがあるのだけれど、1時間みっちりフルートを吹いた後の晴れ晴れすっきりとした気分には代えがたいものがあります。


ソロでは、憧れだったプロコフィエフのフルートソナタに取り組み中。第1楽章のレッスン2回目。ここでは、3オクターブ目のD(レ)という恐ろしい音を何度も繰り返し出さなければならない場面があるという、非常に恐怖のモーメントがあります。普通、フルートの一番高い音は、3オクターブ目のC(ド)なのですが、それよりも一音高いDが楽譜には含まれているのです。つまり限界を超えた音・・・めったに出てくるものではありません。


フルートは、音楽の時間に使った縦笛にも似て、例えば縦笛ならば、「ラ」の指のまま息を強く吹き込めば、高音の「ミ」の音も出せる(倍音といいます・・・)ように、息の強弱で違う音を出すことも出来ます。場合によっては、正しい運指で演奏するよりも楽ちんなことも(ただ音のピッチがあまりよくなかったりするので、たくさんは使えません)。なので、例えば運指があまりに複雑だったり、音が出しにくかったりするときは、正しい運指だけでなく、こういう倍音機能を変え指としてこっそり使って音を出す・・・という裏技があるのです。が、この恐怖のDにはそういう裏技も無い!!


ここのところ、この恐怖のD音を出そうと踏ん張ってきたのですが、どんなにぷーぷーやっても出ない!挙句には酸欠になり頭がぐらぐらになる始末。レッスンを始める前にも、先生にDが出ないよ〜、と二人でぷうぷう練習。一楽章では、最高音B♭に続いてDを出すという風になっているので、連続する2音をグループにして練習するも、譜面台の楽譜が息でぶお〜!っと吹き飛ばされるぐらい吹いたのに出ない。う〜


先生いわく、この音はプロの人でも毎回きちんと出すのは大変なんだそうで、1楽章では連続してこの音を5回出さないといけないのですが、プロでも2回くらいスカッたりすることがあるそうです・・・。しかしだからといって安心していてはいけない!!


実はこの後、1楽章をさらったときに、なぜかこの高音Dが出てくるフレーズをよっ!と吹いたらあれっ!というぐらい簡単にこのDの音が出たときが何回か・・・ほんとに何回かだけあったのですが、やっぱりDを単音で吹こうとするとぜんぜんだめ!!!フレーズの最後に出てくるこのD音、その前の音の連続と合わせて吹くと、それがちょうど助走のようになって、最後にどかん!と音が出ることがあるみたい。不思議。でもやっぱりなぜ出るときと出ないときがあるのか、不明です。先生と一緒に、フルートをロールインしたりロールアウトして角度を変えながら吹いてみても違いがわからず。このD音をうまく出すコツは無いものなのでしょうか・・・


それ以外は、いかにフレーズに大きな波や動きをつけるかの表現の問題について取り組みました。以前も感情を入れすぎるのか、私の上半身がゆらゆら揺れすぎるのを指摘されたことがあったのだけれど、今回もそれで少し音がゆらゆら。もっとどっしり構えようと・・・と途中からハイヒールを脱いで裸足でレッスン(笑 次はいよいよ、大好きな2楽章に突入です!