愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

 陳家の呪い (長い)


お出かけ前に、ダンナが電話口で北京語でめちゃめちゃ怒鳴っている。何?と思えば陳家のパパママからの電話であった。陳家パパママは引退して今ではSFから車で1時間のところに住んでいる。SFはご飯が美味しいとか、天気が良いとか、引っ越すには良い条件が沢山あるのだけれど、実は両親と距離が近くなる!というのは我が家にとってマイナス20点の要素なのであった。私は(広東語がわからないから)まだいいのだけれど、なにしろうるさいのだ、陳家のパパママは。だからまだ引っ越してくることを報告していない。したら最後、毎日のように不動産を買えだ投資しろだと電話攻撃になるでしょう・・・(笑)


チャイニーズ・ママのクレイジーさというのは、我が家に限らず、他のチャイニーズ・アメリカンの女の子の間でも頭痛の種で、特に結婚式の準備などの時に最大限に発揮される。何しろ縁起を担ぐ、妙に迷信深い、親戚への面子を立てるのに躍起になっていらんもんまで買わされる。しかも迷信なら迷信、面子なら面子といってくれればいいのに、あくまでそれは認めない。そしてそれを子供に押し付けるために物凄いロジックで攻め立ててきたりするのであった。オンラインには、「チャイニーズ・アメリカンの花嫁による怒り噴出掲示板」というのもあったりして、結婚式の準備中はかなり活用させてもらった。あとは「ジョイ・ラック・クラブ」とか、エイミー・タンの小説なんかを読むと、その葛藤の様子はわかると思います(笑)。


とはいえ、陳家のパパママは、他のチャイニーズ両親と比べるとそんなに理不尽なことは言ってこない。結婚式のときも、唯一だだをこねられたのは、「披露宴の食事は中華料理、いや広東料理じゃなきゃいやだ」ということだけだったし。レストランを経営していたこともあるけど、陳家両親はとにかく広東料理以外は料理にあらず!といった感じで、広東料理以外のものを食べているのを見たことがない。とにかく大中華思想なので、30年以上アメリカに住みながら英語を覚える気もあまりない。特にパパは英語がほとんどダメで、私とは筆談したりカタコトの北京語をまぜておしゃべりする。ママのほうがそれなりに英語がわかるので、大体電話をしてくるのはママで、ダンナとは英語で会話しているが、込み入った話になると広東語と北京語がぐちゃぐちゃになる。しかしだんなの北京語も大学以降勉強したものだから、ちゃんとしていないし、広東語はそれに輪をかけてヒドイ。今まで一体どうやってコミュニケートしてきたんだ、この家族は・・・(笑)


で、今回の電話の内容は、私のイミグレーションの手続きについてだったらしい。中国語ニュース放送を見ていたら、何でもチャイニーズアメリカンの夫と、日本人の妻が、何か書類をきちんと準備しないまま、日本に里帰りをし、里帰りを終えてアメリカに戻ろうとしたら、奥さんが再入国を却下されて大変なことになった・・というニュースを見たらしい。で、


チャイニーズアメリカンの夫と、日本人の妻 ��( ̄□ ̄;)!!


というところだけで反応して、「あんた達は大丈夫なのか!正月に里帰りするいうけどちゃんと書類を準備したのか!こんな恐ろしいことになるんぞ!」と電話してきた模様。しかし、何の書類のことを言っているのか、そのカップルがどういう状況だったのかという大事な情報は全くキャッチしておらず、とにかく「日本人の嫁が入国審査官ににらまれる・・・ガクガクブルブル」という根拠のない恐怖感にのみ駆られて受話器を取ったらしく、話が要を得ない。


多分グリーンカード申請中の人が、海外旅行する時に取る「再入国許可証」を取らないまま国外に出てしまったので、アメリカに帰れなくなった、という話ではないかと思うのですが、それだったらちゃんと取得済みですよー。しかも私は有効な労働ビザも持っているから、それでも再入国は可能なので大丈夫なんですよー。移民局でも、年末年始に旅行をする時に、再入国許可証はちゃんと取りましょうね、というお知らせを出していて、多分中国語のニュース放送はそれを受けての報道をしたのでしょう。ただたちの悪いところは、「旅行の際にはきちんと許可証を取りましょうね、という移民局からのお知らせ」を報道するのではなくて、「許可証を取らなかったために、こんなひどい目にあった人がいるのだぞ、おそろしいおそろしい」という脅し的な報道をするところですね・・・。特に中国語メディアはその傾向があるのは気のせいでしょうか・・・。


英語のメディアは理解できず、中国語メディアのみに頼っている陳家の両親などはそんな報道に踊らされっぱなし、とにかくテレビや新聞から恐怖ばかり植えつけられてしまって、外の世界は恐ろしいという考えで頭がいっぱい。で、電話に出ただんながいくら「大丈夫、ちゃんと許可証を取ってるし準備してるから」といっても聞き入れずに、この日本人嫁がどんなに大変な目にあったかをとうとうと述べるので、とうとうダンナもぶちきれた模様・・・。


あ〜あ。私のことはかいわがってくれるし、心配してくれているのはわかるんだけどね〜。この日本人奥さんが、私と同じようにグリーンカード申請中だったのかさえわからないのであれば、教えてくれても意味ないっすよ〜。でもダンナのように英語や北京語で怒鳴っても効果はないみたいなので、次回陳家に里帰りした時には、「中国の逸話」を引き合いに、にっこり笑って


杞憂


の二文字をプレゼントしようかと思います(笑)でもあまりに心配性すぎて愛するべき小市民に思えてしまう陳家のパパとママ(何しろ兄ちゃんが東南アジア出身の奥さんと結婚する時には本気でエイズを心配していたくらい小市民だ(笑))。将来陳家を舞台にしたチャイニーズ・アメリカンコメディーの映画台本を書こうと思っているので、近くに住めばさらにネタが増えるのは良いことだ・・・。私は精神衛生上広東語を覚えるのはやめておいて、ダンナには悪いが対処は全て彼にお願いすることにします(笑)。私的には、陳家パパママのハチャメチャな考えは、いつも笑ってしまって、今回はこう来たか!と逆に楽しんでいるけど、これが毎日続くとやっぱり切れるかもなぁ〜。フフフ。