愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

帰ってきたダウントン

思えばイギリスに引っ越すなんて思ってもいなかった数年前、カリフォルニアでダウントンアビーの全シリーズをビンジウォッチングしたのだった。

当時はアメリカでも大流行だったので、インテリアのチェーン店ではダウントンアビーのキャラクターが一同に映った買い物バッグを無料でくれた上、抽選でロケ地になったハイクレアキャッスルへの旅行があたる!なんてキャンペーンをやってたな。

その後ロンドンに引っ越して、コロナのロックダウン中に家族でシリーズをまたちびりちびりと見始めた。やはりイギリスの空気の中で見ると、よりしっくりくる感がある。気がする。ロケ地にはまだ行っていない。

こういうシリーズもののドラマは、やはりそれぞれのキャラクターが顔なじみになり、色々な面やストーリーを知ることで思い入れが強くなる一方、シリーズが長引けば長引くほど、登場人物間の関係性が成熟しすぎて発酵ぎみになっちゃう面もあるというか。

久しぶりにリリースされたダウントン二本目の映画も、そういえばここに出てくる色んな登場人物、それぞれがお互いにひっついて、ここもあそこもカップルだった!というのを久しぶりに思い出した。そしてそうか、デイジーは結局まだお屋敷を出ずに料理人をやっているのね・・と、キャラとしてそこにいてくれるのは嬉しいけど、結局彼女のキャリア的には何も動いてないのがちょっと気の毒になったりも。

前回の映画では、国王夫妻がダウントンを訪問することになり、お屋敷はてんやわんやの大騒ぎ!という、ロケ地となっているハイクレアキャッスルと、そこに今も住むカーナヴォン伯爵家の実話にインスパイアされたものだった。

で今回はというと、ダウントン家の大黒柱なおばあちゃん、バイオレットさんがフランスのリヴィエラを相続することになり、それをきっかけに一家でわいわいニースに大旅行。一方ダウントンでは、お屋敷を映画のロケ地として使わせてほしいという映画監督が現れ、スタッフ役者がなだれ込んできてこっちもてんやわんやの大騒ぎ!というセリフパロディも多少入っている物語の二本立てとなっておりました。

テレビシリーズから時間が経っているから、役者さんの見た目が多少変わっていて、最初ちょっと目が慣れなかった。特にダウントンの当主ロバートさんの役者が激やせしちゃってて、そのせいで声までちょっと変わってたのにはびっくり。一番変わってなかったのは、次女のイーディスと、おばあちゃん陣(バイオレットさんとイザベルさん)といったところか。

話は色々てんやわんやあるものの、みんながみんな予想した着地点につく感じ。多少物語としての発展はあるけれど、全体的に見ると少女漫画の「外伝」的な感じなのは変わらず。大人も子供も安心して見ていられる映画。私生活上で実際に夫婦の役者(劇中では執事のカーソンと、クローリー家の親戚役)のちょっとしたサービスショットもあるのでイギリス芸能界ファンは必見です(笑)

本当はダウントンが第二次大戦、そして戦後どうなるかって話も見てみたい気もするけど、ドラマも映画もあくまで最後の栄華を放っているクローリー家でとどまっている。これでシリーズはほんとに終わりって話もある。でももしかしたら10年、20年後ぐらいに、全く新しいキャストでその後の話が作られたりしないかなーどうかなー

ダウントンアビーのロケ地、そして物語のインスピレーションになっているハイクレアキャッスルとカーナヴォン家の話はこちらもどうぞ

marichan.hatenablog.com

ポルトガルは良いその⑩:タイムアウトマーケットの美味しいもの集、その1

ポルトガルの色々美味しいものが一同に会しているタイムアウト・マーケット。前回出張の時も同僚と行ったけれど、やはり色々好きなものを選べるのが楽しいのと、どこに行ってもアジア料理に目が行ってしまう子供にも対応できる、場所も便利で入りやすいのとで、滞在中3回も行ってしまった。ので、少しずつ美味しかったものを放出します。

前回訪問時は街を挙げてのカンファレンスの時だったので、マーケットも大混雑だったけれど、今回はやはりまだコロナの影響で客足はそれほどでもなく。そんな中でいただいたのは、まず、タコー!やっぱり地中海近辺はタコが普通にあるのが嬉しい。

これは子供が選んだアジア飯。春雨の上にサーモン、でちょっと甘めのソースがかかっている。まあ良し。

色々なお店があるので、家族でコーディネートしないと、メニューがダブることも!!こちらもタコ!!でも最初のタコがちょっとホクホク系だったのに対し、こちらはもっと色々な薬味的に野菜が入って冷やされている、キリッと系。

そしてこちらが大ヒット。「ダックライス」と聞くと何か中華のようなものを想像してしまうのですが、これはarroz de pato という名前のポルトガル料理。ダックも入っているのですが、チョリソーも載ってるのが特徴。フレーバータップリのお肉と一緒に炊いたあと、オーブンで焼くので、表面がパリッとしているのが特徴。

イギリスのスーパーでよくローストされたダックが売ってるから、それをほぐして入れて炊いたら、これ簡単に再現できるかも?!

ようやく注射

日本では4月から小学6年生、イギリスではすでに中学生(7年生)をやっている我が家の11歳児。イギリスでも中学生のコロナ予防接種は去年から始まっていたのだけれど、なぜか12歳以上が対象だったため、早生まれの我が子は中学生だけど11歳だから予防接種が受けられない、という憂き目にあっていた。

インフルエンザの予防注射もしかりで、今までは小学校で普通に集団接種を受けていたのに、中学校では12歳以上が対象です、と言われ、学校では受けられず。11歳の中学生もいるんですけど・・。

かかりつけのGPは、インフルエンザの予防接種は学校で受けるのが普通なので、うちではやりませんと言うし、意味不明。仕方がないのでお金を払って薬局で打ってもらったのだった。

そんな学齢の変な隙間に引っかかってしまった小さいさんだったけれど、先日NHSからコロナの予防接種対象が5-11歳になったというお手紙が来て、ようやく接種を受けることが出来た。周囲からマスクをする人がどんどんいなくなる中、自分は予防接種まだだしと自主的にずっとマスクをしていた小さいさん、良かったね。

場所は私が二回目を受けたのと同じ、科学博物館。私の時は博物館の本館のスペースで大規模にやっていたが、今回は博物館の裏手にある古い建物の小さなスペースに、3人子供が待っているのみだった。

船の大きな模型のあるスペースが受付、待合になっていて、その奥にある小窓がついた部屋が接種部屋。子供のおもちゃが色々並べてある。幼稚園ぐらいの子供が受けに来ていて、注射が怖いとまず泣き、チクっとやられて泣き、その後は痛みというよりは、怖くて痛い注射をされたという事実に対する抗議と怒りの号泣という3段階泣きをしていた。

子供向けにはファイザー、用量も子供向けに少なくしているとのこと。ただ我が子は私より背丈があり、下手すると高校大学生と間違えられる位なのだが・・ぎゃんぎゃん泣いていたさっきの小さい子と同じ容量なのかと思うと変な感じであった。12歳以上になると大人と同じ容量らしい。そしてクラスの9割の子供は、早生まれの我が子よりも小さいのであった。年齢で切り分けるって時に微妙ですね・・。

無事接種を終えた後のご褒美は、博物館近くにあるトンボカフェで抹茶のソフトクリーム。ロンドンには辻利があるのだけれど、そこのよりここのほうが好きかもしれない。しかしカフェインに弱い私、午後2時に子供と同じこの抹茶ソフトを食べたら、朝4時まで眠れないという憂き目にあってしまったのでした、トホホ(子供は熟睡。苦笑)

ちょっとだけ腕が痛くなった位でその後も副反応無し。良かった良かった。

221B

広いようで狭い、狭いようで広い、でもやっぱり広いようで狭いロンドン。なので、引っ越してきた当初はきっとどこかで有名人にバッタリ遭遇、なんてことがあるに違いないと思っていたが、今のところあまり無い。全く無いわけではないが皆が知っているような人には遭遇しない。

もしかしたら有名な地元のサッカー選手とか、イギリスのお茶の間では有名人的な人はウロウロしてるのかもしれないが、なにしろイギリス大衆文化はまだまだ初心者なので、気付かない(苦笑)。本当はベネディクト・カンバーバッチに遭遇したいのになあ。

カンバーバッチにはなかなか会わないが、有名な場所にはばったり出会うことがある。

先日出かけた先が近かったので、ちょっと足を延ばして見に行ってきたのは、ベーカー街221B

・・・ん?カムデン?

この店の名前にピンときた人もいるはず。

BBCシリーズシャーロックで、ベーカー街221Bの外観撮影に使われていた建物でした。

当然本当のベーカー街は観光地だし中心部過ぎて混雑もすごいし本当の撮影には使われておらず、比較的静かなこの場所で撮影があったそうな。


このサンドイッチ屋もこの店名そのままでドラマに登場する。ちょっと遅い時間だったのでシャッターが下りていたけど、建物じたいは思ったよりもコキタナイ感じだった。シャーロックとワトソンが住んでいることになっている部屋には、以前は韓国の留学生二人組が住んでたそうな。

とはいえ外観の撮影だけで、中の撮影はロンドンではなくて確かカーディフでやっていたらしい。

この建物は19世紀のイタリアの政治家・革命家のジュゼッペ・マッツィーニが住んでいたこともあるらしく、そのことが記されているブルー・プラーク(青くて丸いやつ)もついていた。ドラマではよく見ると、このプラークの上に照明ライトをかぶせてごまかしてあった。

現場からは、以上です。

聖★ジョージさん

春の陽気が大分心地よくなってきたロンドン、でも油断するとすぐ風が冷たくなるロンドン。

今週末は特に何かが飛び始めたのか?ロンドン暮らしも数年が経ち、とうとう許容範囲を超えてしまったのか?激しいクシャミと滝というより緩んだ水道の蛇口のように鼻水が流れて止まらないという状況がとうとう始まってしまった。辛み・・

4月23日はセント・ジョージの日ということでトラファルガー広場でのお祝いにちょっと寄った。

音楽あり、屋台アリ、色々パフォーマンスあり。

ブラスの演奏を皆さん直立不動で楽しんでるなか、一人踊りまくる人にカメラ注目(私の写真では躍動感全く伝わらず)

もう一人参入、脱いだサンダル両手に持って、フィニッシュにはサンダルが宙に舞う。吹っ切れている大人は、とても良い。

地味に盛り上がっていたこのお祭り、セント・ジョージという聖人を祝うもの。なんでもこのジョージさんはイングランド守護聖人なのだそう(イングランドの、であってイギリスの、ではない)。

国に守護聖人がいたとは知らなかったが、アイルランドだったらセントパトリックさんとか、そういうことか。

白字に赤十字イングランドの旗も、実はイングランドを表すというよりは聖ジョージの十字と呼ばれる図柄なんだそうな。

このジョージさん、聖ゲオルギオスとかサンジョルジュとかヨーロッパ各地で色々な呼び方をされていて、他の国や地域の守護聖人もやっているらしい。そういえば、日本ではシュクメルリで有名な?ジョージアなんかも名前からしてそうじゃないですか?!

ジョージアの国旗も、聖ジョージというかゲオルギオスの十字と、エルサレム十字という小さい4つの十字が合わさったもの。ほうほう。あとはなんとモスクワの守護聖人もゲオルギオスさんなんですと。

そしてちょうどジェノア旅行中だった友人が、ジェノアの旗もイングランドの旗と一緒というのを見つけて教えてくれた。ジェノア守護聖人も務めるジョージさん、またはゲオルギオスさん。他にも彼を守護聖人としてあげている国や地域は随分ある模様。欧州各地で推されている・・・!

日本では弥生時代古墳時代だった頃の人物らしいジョージさんまたはゲオルギオスさん。キリスト教迫害にも負けず信教を続けたという聖人として重要なポイントのほかに、ドラゴンをやっつけた伝説もあるそうで、そんな勇ましくてカッコいいところも推しの理由になっているのではと勝手に推測する。

ジョージ、ジョルジュ、ホルヘ、ゲオルギオス、ゲオルギーにジルジスと、各国の言語によって色々な呼び方で親しまれているさまは、もちろんジョージの現地読みがそうだからという理由なんだけど、なんとなくインドの神様が日本ではなんとか天と名前を変えても、同じように祀られているような感覚を連想したりもする・・ちょっと違うかもだけど。

それにしてもイングランドの守護神がなぜこのジョージさんなのか。その背景として、ガーディアン紙の昔の記事は「13世紀ごろに敵を欺くため、イギリスの船が(当時強力だった)ジェノアの旗を付けて航行していた」のがきっかけだったと説明している。

昔は旗を使わせてもらっているお礼にと、英国王室がジェノアの元首を毎年訪問するなんていうことをしていたらしい(それこそ当時のイタリアにはイタリアという国はなく、各都市がそれぞれ強力な国家だった頃の話)。へー、意外にもそんな理由だったとは。

www.theguardian.com

そんな理由からか、思ったよりイングランドの皆さん、聖ジョージに対する思い入れはあんまりないというか、知らない人も多いらしい。実際このお祭りも大してそんなに盛り上がってはいなかった。あ、そういえば子供向けにちゃんと中世の騎士みたいな恰好をして、ドラゴンをやっつける写真を撮ることができるブースとかはあった。

こちらはロンドン名物、Pearly KingとQueenの皆さん。すごく昔からあるチャリティ団体で、貝ボタンを縫い付けて作ったジャケットを派手派手ジャケットを着ているのが特徴。イーストエンドの労働者階級の伝統を伝えつつファンドレイジングをしたりしているそうな。

詳しい歴史はここに
www.pearlies.org.uk

まだまだ知らないイギリスの歴史や文化が沢山、いつまでたっても観光客気分で新しい発見があるロンドンなのでした。