愉快的陳家@倫敦

ちょっと雑だが愉快な暮らし。サンフランシスコ・ベイエリア日記。

勘違いジムへいらっしゃい

地元のジムに通い始めて5年ほどが経つ。近場にあったのと安かったので入ったが、女性専用のジムである。

やはりジムに男性がいると恥ずかしくて、気後れして行けない・・という人はアメリカにもいるようだ。と言うより、知らない男性がいるところで運動なんてとんでもない、という宗教の人もいるわけだから、かなりニーズはある。

そう、女性用のロッカールームやシャワーしかないこのジムでは、ムスリム生着替えを見ることもできる。普通にジャージをきて運動していたおばちゃんが、ロッカールームでささっと大きな布を頭に巻き、まち針のようなもので1−2箇所ぐらい止めて、さらにその上から黒いゾローッとしたブルカをかぶり、携帯をいじりながら出て行くのを見るはなかなか面白いものである。

時々メンテナンスなどで男性が入ってくることもある。そういう時には空襲警報さながらに、「男性がきます!」と警報が発令される。

私は子供が学校に行っている間に行くことが多いのだが、昼間のジムはおばちゃん達で溢れかえっている。

男子禁制のこのジムで、おばちゃん達はすこぶる元気である。ヨガのクラスに行けば、体勢を変える時にちょっと緩んだ体から「ブッ」とガスの音が聞こえてくることもある。

張り切り仕切り屋おばちゃんが、先生が来る前にみんなでウォーミングアップしておきましょうよ!と腕やらなにやらをパチパチ叩くエクササイズを強要してくることも度々である。

ズンバのクラスは端から見ると死霊の盆踊りのようではあるが、中に入ってみると皆満面の笑顔で「ヘイ!ヘイ!」と音楽に合わせて皆合いの手を入れながら楽しく踊っている。インストラクターのお手本などものともせずただヘイヘイ!と叫びに来ているだけなおばちゃんもいたりする。でも楽しそうである。

最近ではバリウッドの音楽に合わせて踊るエクササイズのクラスが人気だが、アップテンポのバリウッドの音楽に合わせてムスリムのおばちゃんが指笛を鳴らしてくれたりもしてなかなか本格的である。

運動しに来ているおばちゃんたちには色々クラスタがあり、元気な白人おばちゃん、英語はブロークンだがうるさいフィリピン・タイ・チャイニーズグループ、母国語でうるさいムスリムグループが三大勢力となっている。

アジア勢は一番キャッキャしているかもしれない。今は懐かしい鈴木その子風のミイラのようなおばちゃんが黒いレース風のレオタードのようなものを着てホネホネロック風に踊っていたり、細身ながらもダンベル振り回しながら踊るおばちゃんもいたり、小粒ながらなかなか壮観である。

ムスリム勢は、鉄腕ダッシュに出ているTOKIOのメンバー的なタオル様のものを頭に巻いたり巻かなかったり、一応スポーツウェアも長袖でバッチリ決めている。運動のキツさに耐えられなくなり、途中で部屋を出てしまうのもムスリム率が高い。

それに比べると白人クラスタはあまり面白みが無いが、勤務先のロゴが入ったTシャツを着ているヨレっとした人もいれば、若い頃ファッション業界にいたらしいおしゃれプラチナホワイト頭のおばさまもいる(異様に仕切るのもこういう人である)。

私は時々仕事をしていたりしていなかったりなので、定期的に行けない期間が出てくるのだが、行けば必ずクラスにいる、いわゆる常連的なおばちゃんもいらっしゃる。時にはカーディオのクラスを立て続けに2個とったりしていらっしゃるようだが、何年たっても驚くほど体型に変化が無い怪奇現象も見ることができる。

こんな感じのジムなので、ヨガでもカーディオのクラスでも、スタジオに入って鏡に映った自分を見ると、なんだか自分がすごく若くて細くてイケているような錯覚を起こしてしまう。このため私は心の中でこのジムを勘違いジムと呼んでいる。そう、勘違いしているのは私である。

しかし音楽に合わせてヘイヘイ!と嬉々として我を忘れ踊り狂うおばちゃん達を見ていると、マインドフルネスとはまさにこのこと、痩せまいが踊りがゾンビだろうが、楽しそうに今を生きるおばちゃん達と比べ、ひとり冷静にステップを踏んでいる自分の方がなんぼかイケてない気持ちになってくる。いや、本当はイケてるとかイケてないとか、人と比べるところからしてもう間違っているのだろう。そしてかくいう私も、5年このジムに通っている割に体型に変化は無いのであった。