愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

無料だけど、評判は?のイギリス医療初体験

イギリスといえば国民保険で医療費が全部タダ。バカ高い保険料を払ってもさらに高額の請求がくることもあるアメリカから来た身としては、それだけでほえええ、ありがたいと思ってしまいます。

幸い我が家の場合は、雇用主が用意していたプランが悪くなかったので、それほど医療費は高くなく、出産の時もかかったのは10ドル位でした。これは本当にプランによる。

しかしパパが転職し、イギリスに先に行ってしまったので、私と小さいさんがアメリカに残っていた3ヶ月間は、私と子供だけ自腹で保険に加入していました。2人で月に800ドル位しましたよ・・そして一度も医者にかからなかった・・そしてイギリスに引っ越すからとキャンセルした後も、しつこく保険料払えと請求書がイギリスにまで転送されてきて、訂正してもらわなければいけませんでしたよ・・。

そんな値段もシステムもいけてないアメリカの医療システムから来たので、イギリスの医療も無料とはいえ、だからこそ質は良くないんではないかとかなり懐疑的でした。実際、医者の予約を取るのに数ヶ月待ちだとか、予約に5分遅れたので医者が見てくれず、死んだ子供がいるとか、ホラーストーリーはあちこちで目にしますし・・。

医者のお世話にならないのが一番だよな、なんて思っていましたが、なんと、引っ越し荷物のあれこれや、IKEAの家具を1人で13個位組み立てていたからでしょうか、私右手の親指が酷い腱鞘炎のような感じになってしまいました。1ヶ月たっても全く良くならず、指がバンバンに腫れたり、料理したりペットボトルの蓋も開けられなかったり。急遽医者に見てもらわなければならなくなりました。

かかりつけ医を探す

まずは自分のかかりつけのお医者さんを探します。GP(General Practitioner)と行って幅広く全部見てくれるお医者さん。何があってもまずはそこに行き、専門家の治療が必要となると、紹介してもらうシステムになっています。アメリカのHMOと似た感じです。

複数のお医者さんがいるクリニックのような施設が街にいくつかあり、そこから選んで登録します。学区のような感じで、そのクリニックがカバーされている地域というのが決まっているのが面白い。

我が家の周りには3つありましたが、レビューを見ると、とにかく予約が取りにくくて待たされるところ、医者の評判が悪いところ、あまりレビューが無いところの3つでちょっと困りましたが、周囲の話も聞いて、あまりレビューの無いところに決定。

徒歩で行けるところにあったので、ふらっと行って受付で登録用紙をもらった時の感じも良かった。また新規の患者はまず健康診断を受けないといけないのですが、その予約も翌日すぐ取ってくれたのが好印象でした。

また、待っても待っても送られてこない、数ヶ月経って来たらラッキー、などとブログに書かれていた医療ID番号もすぐ送られてきました。

健康診断

健康診断はナースの人が担当。簡単な問診と採血のみ。アメリカではいつもグサグサやられているのですがここの採血はすごおおく上手だった。

問診では、1週間のアルコール消費量を聞かれましたが、かなり下戸な私、ほぼ0だと言ったらとても驚かれました(笑)

さらに1日の運動量についての質問は、1日にどれくらい歩いているか、何かスポーツをしているか、ジムに通っているか、そしてガーデニングはどれくらいやっているかの4問。

そう、イギリス人にとってガーデニングは立派なスポーツです(嘘)

それにしても既往症も何も聞かれず、こんなんでいいのか?というものすごくあっさりした検診でした。

これが一通り終わってから、ようやく医者に見てもらえます。しかしここで取れた予約は10日後。えー

ようやく医者に対面

早くみてくれ〜と思っているうちに、だんだん痛みが和らいできたような?治った頃に医者に見てもらえるパターンか・・とがっかりしているうちにようやく予約の日。

朝9時過ぎの予約でしたが、もう待合室には人が15人ぐらい。これは1時間待ちは必至かな・・と腹をくくったものの、なんと待って5分で呼ばれました。

チェックインも受付にはいかず、ロビーにあるキオスクでやります。呼ばれるのも電光掲示板。ちょっと拍子抜けでした。

若めのちょっとイケメン先生に説明したら、意外とわかってくれて色々手を動かして痛みを確認。まずは2週間痛み止めと腫れを抑える薬を出してみて様子を見ましょう、それでもダメならレントゲンと血液検査をしましょうということになり、書類も全部用意してくれました。

ついでに既往症などの話もして、結局クリニックにいたのは15分位。その足で近くの薬局に処方箋を持って行ったらすぐに薬を出してくれたので、そこでも所要時間は10分ぐらい?お薬代はちょっとだけかかりました。

午前中まるまる潰れることを覚悟して行ったのに、あれ、1日が長いよ?

検査もウォークインで

薬を2週間飲んでみたものの、完全に痛みは取れず。さらにまた引っ越し荷物が届き、重いものを持ったり、新しい家具の組み立てもしたからでしょうか、また痛みが戻ってきたりしたので、レントゲンと血液検査を受けに近くの総合病院へ。しかしアポは受け付けていないとのこと、とにかく行くしかない・・!

アメリカでもレントゲンを取りに車で15分ぐらいのところに行き、アポをとっていても、山盛り人が待っているところで延々待たされる・・という経験をしていたので、総合病院だし、レントゲンと血液検査両方だと相当待たされることを覚悟していきました。

どちらも結構待合室に人はいたのですが・・レントゲン、15分。血液検査、15分。これもまた気がつけば病院滞在時間30分で全て終わってしまいました。

血液検査などはぱっぱと流れ作業で2人の人がこなしていましたが、数をこなしているからかこちらもとても上手。アメリカだったらまず待合室で待たされて、検査部屋に行って待たされて、注射針持った人がよっこらよっこらやってきて、グッサリ!って感じだったのに! You're all done my love, って恰幅のいいイギリス人のおばちゃんに言われて、あっけなくこちらも終了。

病院の中に最近コカコーラに買収されたコスタコーヒーがあったので、スコーン食べて帰ってきました。まだ結果待ちなので診断がどうつくかわかりませんが、今の処拍子抜けするくらいスムーズなイギリスの医療。しかも全部無料。

ロンドンオリンピックの開会式でこの国民医療サービスの始まりをテーマにしたパフォーマンスがあって、ヘェェ?と思って見ていましたが、工業化が進む中で、貧困や不衛生な環境の中で生活する労働者も激増して(それこそオリバーツイストの世界)、そういう人達の受け皿となる社会福祉が全くない時代が長く続いたイギリスの歴史を考えると、これは誇ってしかるべきものだよなあと思ったり。

もちろんいろいろシステムの破綻が見えている部分もあるらしいですが・・お金を積めば最先端の医療は受けられるけれど、なんだかいろんなことが不透明なアメリカから来た身としては、イギリスの医療システムがこれからもしっかり機能してくれることを願うばかり。