愉快的陳家@阿拉米達島

ちょっと雑だが愉快な暮らし。サンフランシスコ・ベイエリア日記

しょぼしょぼと泣きたい時に

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もういい年になってくると、ワーワーと声をあげて泣くようなことはそう滅多にはなくなる。でも何の拍子かで悔し涙を流したり、犬も食わない夫婦喧嘩をして涙が出てくることがないわけでもない。

泣いてデトックス、とか泣いてスッキリ、とも言うけれど、不思議とこういうネガティブな涙のあとは、頭がガンガンに痛くなり、身体中になんだか悪い化学物質が循環しているようなすごく重くて嫌な気持ちになって、全然スッキリしない。

でも感動の涙とか嬉し涙ではそうはならない不思議。スッキリするかはよくわからないが、感動でしょぼしょぼと泣くのは、なんとなく気持ちが良い。

それでイギリスのテレビ番組「Long Lost Family」という肉親探しの番組を夜な夜な見ては、1人でさめざめと泣くという生活を最近している。

内容は表題の通りで、何かしらの理由で生き別れになった肉親を、番組を通じて探してもらうというもの。イギリスの番組らしく作りが非常に淡々としていて、さあ泣け!ここで泣け!というわざとらしい盛り上げがないところが良い。

養子に出された子供、子供を養子に出した親、養子に出されたきょうだいを探しているきょうだい、離婚で音信不通になった親やこども。

依頼者の肉親を調査して探し、最後に涙のご対面、というありがちな番組だけれど、わずかな情報だけで、色々な記録をたどって肉親を見つけていくプロセスが、ミステリー番組を見ているようで興味深い。

番組のプレゼンター2人が、非常に淡々としているところも良い。依頼者の家に行って静かに話を聞き、見つかった肉親にもまずはプレゼンターが会いに行き話をし、会いたいかを確認する。そして依頼者に淡々と調査の結果を伝える。肉親と対面する時は、その場所まで付き添って行く。とにかくあまりに感情を表に出さないので、最初はなんだか冷たい感じもしたが、あくまで依頼者にスポットライトを当てるため、自分がヘロヘロ泣かないようにしているらしい。

プレゼンター自身も、養子に出されて自分で生みの親を探した経験があったり、母親がいなくなったり、という経験があるそうで、依頼者の気持ちに寄り添える人が選ばれているらしい。探している肉親がすでに亡くなっている場合もあるが、その場合はカメラがないところでそれを依頼者に伝えている。そういう配慮もよろしい(そして探していた肉親の代わりに、存在を知らなかったきょうだいと再会したりする)。

もちろん感動の再会シーンも泣けるのだが、プレゼンターが家を訪ねてきて、肉親が見つかったということを伝える場面が一番泣ける。長年重荷となっていたものが全て解き放たれ、わっと感情が溢れ出す。その素直な感情のあらわれが、感動のBGMも何もなくても、見ていて目からサラサラと涙が落ちてくる。

喜びと安堵と今までの辛かった思いからの解放と、良いニュースでの喜びの涙を見て、一緒に涙を流すのは、ある意味一番罪悪感のない、感動ポルノなのかもしれない。

家族が生き別れになった事情は様々だけれど、昔のイギリスはずいぶんと未婚の母に厳しかったのだなあ、父親に勘当されて行き場を失い貧困スレスレになったティーンエイジャー妊婦とか、昔は未婚の母が出産して子供を養子に出すまで、世間の目から隠れて過ごす施設があったりと、意外と恥の文化でものごとが回っていたみたいだ。

探していた肉親がオーストラリアやニュージーランド(時々カナダ)に移民していた、というケースも多いのが意外だった。

生き別れた兄弟を探していたら、他にも養子に出されていた兄弟が芋づる式にどんどん出てきたり、弟を探していたらオネエになった弟が出てきたりとドラマは色々。

アイルランド紛争で離れ離れになった恋人同士、いつか迎えに行くからと子供の父親は何度も手紙を書いていたのに、実はそれが本人に届く前に家族の手で握りつぶされていたことが50年も経ってからわかった、というのが一番泣けた。わかった時にはもうお互いに別に家族がいるわけで。

一方で、娘が自分の父親を40年ぶりに探し出したのがきっかけで、父親と母親が再婚する話が持ち上がっているというケースもあったり。

そして生き別れた親きょうだい、血は水より濃いと言うか、再会してみるとまあ顔も体型も雰囲気も似ている人の多いこと。どんなに引き取られた先の家族に愛されて育っても、自分は何か違う、何か欠けているという感覚を覚える人も多いらしく、初めて自分にそっくりな血縁者を目の前にするという経験は、かなりシュールに感じるらしい。それが自分の生き別れた双子だったりするとなおさら。音楽家を目指していた高校生カップルの間に生まれた息子が、それを知らずに自分も音楽にのめり込んで育ち、再会した親の前で弾き語りをする、というのもあった。

この番組、アメリカ版、オーストラリア版もあって、アメリカ版は複雑な事情がさらにもっと生々しい。生みの親を探したら、実は自分はレイプで生まれた子供だったことがわかったり、肉親が死んだニュースもカメラの前でガンガンに知らされたり、オーストラリア版では、プレゼンターが一緒においおい泣くので、確かに実際見ていて気が散るなあ(笑)と思ったり。

あまりに短期間に集中して見すぎたため、もうだいぶお腹いっぱいになり、最近は早送りして肉親が見つかったと告げられるシーン、写真を見るシーン、再会シーンの3ポイントに絞り、勝手に目から水が流れるのに任せる、という、ある意味本当にポルノ的な鑑賞をしてしまっているが、やはり過ぎたるは及ばざるが何とかで、感動の涙も流しすぎると頭痛がすることも発見したので、泣くのはやはりほどほどにいたしましょう。

Long Lost Family: True stories of families reunited (English Edition)

Long Lost Family: True stories of families reunited (English Edition)

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