愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

【読書日記】生まれてどーもすいません・舜臣さん

地元の図書館にある日本語の本を片っ端から掴んで読むシリーズ。

太宰治全集〈1〉 (ちくま文庫)

太宰治全集〈1〉 (ちくま文庫)

天気の悪い冬の日に読んでしまった太宰治人間失格、斜陽、走れメロス、桜桃、その他短編色々。

うまく感想をまとめて書けないので読みながらつらつら思ったことを箇条書きにする。

  • う、打たれ弱い。病室ではしゃいで婦長に注意されたぐらいで打ちのめされ方が尋常じゃない。そうじゃなくても色々打たれ弱い
  • 恋文が愛情を伝えると言うよりは独りよがりの妄想だらけですごい。昔の人は本当にこんなのを送りあっていたのだろうか。こんなの受け取ったらドン引きするだけと思いきや相手もそれに応えるからわからん。
  • 学生、ワカモノの異性に対する意識の仕方がすごい。ちょっと向こうから歩いてきただけで自分に気があると思うような世界・・中学生かっ!
  • 学生、ワカモノの会話もすごい。色々御託を並べている割によくわからん。ちょっと何かあるとそれを想像力と理屈で1万倍ぐらいに拡大解釈してウロウロ思考する。
  • 情報も少なかった時代、異性に関しても将来や思想や生活や何に関しても思いつめ方もすごかったのだろうか。太宰の時代、というか太宰ワールドにネットがあったらどうだったろう。
  • 自分は才能がある、本当はできる、でも努力もしないで結局何もしない・・、っていう人は、今も昔もいる。
  • 健康大事。
  • 走れメロスだけ異様に健全で浮いて見える。
  • 肝っ玉じゃないけど母ちゃんになった今、太宰治は気持ちはわからんでもないがただただまだるっこしい。でもそういうのも色々含めて太宰治の真骨頂なのでしょう。


崑崙の河 (徳間文庫)

崑崙の河 (徳間文庫)

青玉獅子香炉 (文春文庫 ち 1-4)

青玉獅子香炉 (文春文庫 ち 1-4)

陳舜臣さん。司馬遼太郎的歴史スペクタクル小説的作家だとずっと思っていたけれど、なぜか図書館にあったのはもっと軽快なミステリー風の話ばかり。自分がそういう家庭に入ったからだとは思うが、特に華僑というものに魅せられている部分があるので、そういう人がそういう題材で書いた話を読むのはとても楽しかった。元コックのヤンさんこと楊天平、元英国商館員のオキゲンさんこと沖田源太郎と云う2人の爺さんが語る神戸や中国で起こるちょっとした事件の回想は特に良かった。こういうのもう絶版になっているのは残念。こういうのも図書館に行くと読めるのはなかなか良い。しかも外国の、郊外の図書館で。