愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ロンドンで、Crazy Rich Asians (クレイジーリッチ)とうとう観た!

日本でも「クレイジー・リッチ」というタイトルで公開された金持ちすぎる華僑の話、Crazy Rich Asians.

この原作本を3年ほど前に読み、クレイジー・リッチではないがクレイジー・アジアンではある華僑の嫁として、わかるわかる!と大はまりして、大好きな本の一つになったこの一冊。

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本を読んで、この話をぜひ映像で見てみたいと思ったものの、まさかアジア人しか登場人物がいないこの話が本当に映画化されるとは実際のところ思ってもみなかった。しかも主人公のレイチェルはやっぱりコンスタンス・ウーだよな・・と思いながら読んでいたので、まさにその通りの配役になるとは!!

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しかし足掛け3年この映画化を熱望していたのに、アメリカでの公開日前にロンドンに引っ越すことになってしまった陳家。

この映画の監督をしたジョン・M・チュウ、実はシリコンバレーにある中華料理屋の息子さん。そんな縁もあって、サンフランシスコのカブキシアターで開催された試写会には監督や出演者もやって来たそう。試写会行ってきた!と出演者のみなさんとツーショットにおさまる地元の知り合いのFacebookポストをロンドンからそれはそれは嫉ましく見たり、

サンフランシスコにいるアジア人の友人という友人達が、みんなそれぞれ大量のアジア人の仲間連れで大挙して映画館におもむき、観て来た!すごく笑って、そして泣いた!とコメントしているこれまたFacebookポストの数々を、指をくわえて羨ましく観ること1ヶ月・・。

ロンドンでも9月にとうとう公開され、ようやく観ることができた!!あー嬉しい。

しかし実際のところ、最初は仕事やお迎えの時間にかぶる時間しかやっておらず、なかなか行けず。公開後1週間経って、ようやく平日空いた時間に観に行ったところ、なんと今度は映写機の不調で観られないというアクシデントまで発生・・・(涙)

結局イギリス公開から2週間後にようやく観にいくことができた。しかも映写機のトラブルで見れなかったお詫びにタダ券もらったので、ラッキー。

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さてこの映画、原作がものすごく面白かったので、これを2時間でどうまとめるかな、きっと原作通り全部は盛り込めないだろうし、どちらかというと、小説にこれでもかと出てくるブランドものの数々や、スーパー金持ち華僑の暮らしぶりを映像で見れたら面白いだろうな〜、と小説のビジュアルエイド的な感じでの期待しかしていなかった。

でもアメリカで観た友達が皆笑った泣いたと言うので、逆に期待が高まってしまったのだが・・・


小説が好きすぎたせいか、なんだかすごく普通だった。


これは多分観た環境も悪かったと思う、何しろ月曜日の平日の映画館、最初はお客は私1人の貸切状態。その後途中でイギリス人の老夫婦が入ってきたが、そうでなくてもイギリスの映画館、行くたびに観客の反応が薄い。イギリス人老夫婦ならなおさら、面白いシーンでみんなでどっかんどっかん笑って楽しさ倍増、が期待できない。

そして私が原作で面白いと思った部分、どんな金持ちでもチャイニーズのセコケチスピリッツは不滅・・と言うエピソードがことごとく消えていたのもちょっと不満だったかも。

例えば、映画の冒頭、雨でずぶ濡れになってロンドンの高級ホテルにやってきたら、ペントハウスの予約をしていたのに、そんな予約はございません、と追い返されそうになったと言うエピソード。あれも本当はタクシー代をケチって、雨なのにグチャグチャになりながら歩いてきた、と言う部分が笑えるポイントだったのだが、それが入ってなかったのもあって、単に人種差別を受けたことに反撃して溜飲を下げるようなシーンになっていたので、あれっ?と思ったのだった。

そこからなんとなく・・多分イギリスで観たからかもしれないが、やっぱりこれ、映画にしちゃうとどうもボリウッドで観たことあるような話になっちゃわね?と言う気がしてならなくなった。

アメリカ育ちで超アメリカナイズされているデシ(インドの華僑みたいな呼び方)の女の子、実は付き合ってるインド人のボーイフレンドはマハラジャの家系だった、インドに行ってみたらびっくり!みたいな設定、ありそう。もしかしてそんな感じでリメークしてくれないかなぁ・・もっとキンキラキンな映画になるかもしれない・・)。

ミシェルヨーもちょっとお上品すぎたかも。でもまあ、この小説に登場するシンガポール華僑の皆さん、ハーバードはオックスフォードとかに落ちた人が仕方なくいくところ、スタンフォード?はぁ?なにその二流校、と言う位置づけなので、皆さんチャイニーズ的というよりはよりイギリス風のポッシュな感じなのかもしれない。

どちらにしろ、この話は、アメリカ風に育った主人公が、金持ち華僑の古い世界、そして植民地時代から続くイギリス偏向的な上流意識と文化に衝突するというもの。そして主人公に対峙する華僑の皆さん、どんなに上品に振舞っていても、彼らの中に時々見え隠れする中華的な迷信やセコケチやパラノイア、がこの話をより面白くしているのだと思っていたけれど、この映画ではその中華エッセンスの部分がちょっと薄かった感じがした。

それともやっぱり、アジア人の仲間と見に行かなかったのがよくなかったかなぁ・・。

この映画、話の内容もさることながら、全キャストアジア人と言うところが歴史的だったので、そういう部分も増し増しで、アジアン・アメリカンの友達たちは余計に泣いたり笑ったりしてたみたい。そういう底上げがロンドンの平日の真昼間の映画館にはなかった・・・。

見に行った知り合いの中には、「Crazy Rich Asians見てきた!だってそうしないといけないから(笑)」、と自分の意思と言うよりは親や周囲の意思で行動する典型的なアジアン・アメリカンの行動パターンを揶揄したポストをしてる人もいたけど(笑)そんなアジア人大動員が功を奏したのかどうか、アメリカではラブコメ映画としては10年間で売り上げナンバーワンの作品になったのだとか。

金持ち華僑の面白小説を映画化したこの話、一方で、インクルージョンとかダイバーシティとかを代表するという役割も果たしてしまったので、色々アメリカでは話題になったけど、実際、アジアン・アメリカンじゃない人にはこの映画はどのように見えたのか、すごく気になる〜。

舞台となったシンガポールでは、やっぱり「この映画は本当のシンガポールを表現していない!インド人や他の人が描かれていない!」という批判がたったり、本当のシンガポールを知りたいなら、こんな映画よりこっちがおすすめ、と貧困の中がんばる主人公の映画が紹介されていたり。いや、この映画はただの金持ちコメディですから、そこまでイキらなくてもいいんでは・・・と思ったり(笑)

日本での売り方は、もう普通に少女漫画的に、普通の女の子と金持ちのボーイフレンドのロマンチック・ラブコメディみたいな感じになってるみたいだけど・・。まあ移民文化のどうこう、と言う売り方では多分それほど理解はされないだろうから、マーケティング的にはそうするしかないんでしょうねぇ。

でも、これだけ興行成績が良かったので、映画の続編も期待できそうなのがとても嬉しい。

この小説、三部作になっていて、第2部はレイチェルが父親を探して大陸に渡ったり、ジェンマ・チャンが演じたアストリッドにもっとスポットライトが当たったりして、さらにえげつない大陸の成金の世界が見えて面白い。第3部は遺産相続の話。

どっちかというと映画よりもNetflixのシリーズ的な感じでもっと丁寧にやってほしい気もする。

そして最後に・・・映画を見ている間にずーっと気になってしまったこと・・・

ソンナノ関係ネェ!ソンナノ関係ネェ!(古)

この役者さんイギリス人とマレーシアのイバン族のハーフ。小島よしおもポリネシア系・・?ピーヤピーヤ

クレイジー・リッチ・アジアンズ 上

クレイジー・リッチ・アジアンズ 上

クレイジー・リッチ・アジアンズ 下

クレイジー・リッチ・アジアンズ 下

日本語訳も出たのかー