愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

子連れおギリシャ旅⑯修道院宿とレストラン

クレタ島ハニアでは、修道院をアパートに改造したところに泊まった。

この一番奥の青い扉がそう。一応二階建てになっていて、狭い螺旋階段を上がると上の小窓があるところがベッドルーム。バイクが止まっている右側の壁側もアパートで、ここには地元の人達が住んでいる。

やはり古くて狭いところを改装したような場所なので、超快適とまではいかなかった。少し穴蔵風だったのと、無理やり変な場所にエアコンがつけてあり、冷風が直接ベッドに吹き付ける感じだったので、滞在中私は喉をやられる風邪をひいてしまった。

風邪でテンションがだだ下がったせいか、部屋の内装を撮った写真が一枚もない。

ドアの左側にはレストランがあった。夜だけの営業で、中庭のようになっているところに夕方になるとテーブルが並べられる。ちょっと今時のアンビエント系な感じのテクノが流れている。

滞在初日は定休日で、レストランがあることさえ気づかなかった。二日目、出先から帰ってきたらテーブルが出ていたが、いるのは店のスタッフばかりで、心配になるほど閑古鳥が鳴いている。

メインストリートからは離れた路地裏にあり、知らなければわざわざここにご飯を食べようと向かうことはなさそうな感じ。少し心配になるぐらい誰もこない。

宿とレストランはアイオス・ニコラオス教会と言うギリシャ正教の教会の裏にある。クレタ島オスマントルコに占領されていたこともあり、教会は、当時モスクとして使われていた時のミナレットがそのまま残っている。

朝7時になるとこの鐘が54回も鳴って起こされる。日曜日になると近所の人達がわらわらとやってきて読経のような歌を歌いミサをする。

せっかく横にレストランがあるし、一度は食べてみようと3日目に行ってみた。客はもちろん私たちだけ。

ウェイトレスのお姉ちゃんは「オマエタチドコカラキタ」と言う感じのカタコト英語で話してくれる。メニューに一応英語表記があるので問題は無い。

真ん中はナスのピューレ。ババガヌーシュ的なもの。下はナスのフリッター。どっちもナスだが、ナスは美味しい。

シェフお手製のパイ、中はお肉。とても素朴な味。

クレタ島の料理、ベーコン肉をスモークしたもの。

ギリシャのお店の多くは、最後におまけのデザートを持ってきてくれることが多い。ここではクレタ島のラキ「チクディア」と、ハルヴァを持ってきてくれた。

このハルヴァ、今まで食べたごま風味のものとは全然違う。シナモンの味がきいているが、食感はういろうをもう少しボソッとしたような、軽羹のような、なんだか日本で食べたことがあるような懐かしい味がした。

こんなに客がこなくて大丈夫なんだろうか、と心配になったレストランだが、実は私たちが疲れて寝こけ始める頃に地元の客がきて盛況になっていた。夜の9時10時頃から外がざわざわし始める、子供の声もする、アコーディオンの音までし始める。

話し声は朝5時ごろまで続き、朝7時になるとまた教会の鐘が54回鳴る。

外からはアパートに住むおばあさんのしわがれたものすごい叫び声が聞こえてくる。すわ喧嘩か、と思って耳を澄ますと「◎▲※×!!!カリメーラ!カリメーラ!」なんのことは無い、おはよう、と言っているだけだった。

今思えばもう一度ぐらいここで晩御飯を食べてみたかった気もする。ウェイトレスのお姉ちゃんとは、毎晩アパートを出入りする時に手を振りあった。

この店の名前はυδραγωγείο。水路とか水道橋と言う意味で、実際ここに教会の水道みたいなものがある。クレタ島のメゼを出す、なかなか悪くない店。

お店のページはこちら。観光シーズンが終わり、冬の間は閉まるらしい。