愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

旅の本当の目的地


今回のイタリアの旅は、美味しいものを食べまくるためではなく、10年来の友人ベッちゃんとピーポくん(仮名)の結婚式に出席する、というのが本来の理由でした。そんなわけで、5日間のミラノ滞在を終えた後、結婚式会場となる山奥村へ出発。


ベッちゃんは11年前、ニューヨークの丁稚奉公先で一緒に働いていた仲間。ミラノ出身の彼女とは、配属された部署が同じで、なぜか最初から気があい、仕事中も、仕事のあとも、ずーっと一緒に過ごしました。まだ学生だったし、将来のことも、人生のこともまだ右も左もわからずあがいていた時代。そんな時期の数カ月間を一緒に過ごした大事な友達です。


仕事そのものは、期待と理想に燃えてマンハッタンに乗り込んだものの、世界の混沌をそのまま鏡に映し出したかのような魑魅魍魎な(?)組織にびっくりし、高い理想や仕事が出来るってだけじゃ世の中やっていけないんだなぁ、ということをものすごく思い知らされ、ちょっと現実と理想のギャップにがっかりした経験でもありました。世の中、教科書どおりにシステマティックにきちんと動いているわけではないんだ、と今思えば当たり前のことも、この時本当に分かった気がする。でも、本当に色んな面白いことが起こるマンハッタンで、色々なものを見、色んな人と会うことができた貴重な経験ではありました。当時、日本からアメリカに来て1年半、ニューヨークの片田舎でしこしこと勉強だけしていた留学生だったので、ここで本当に初めて、世界を少しでも垣間見れたようなものです。そしてなにより、大事な友達もできたことだし。


ベッちゃんと私は性格は結構違うんですが、普段考えていることがとても似ていて、例えば街を一緒に歩いていると、まず見ているものが全く一緒。そして目に入ったものや景色から連想したり考えたりすることがたいていシンクロしているので、ほとんどお互いに説明しなくても「あれそうだよね」「うんあれね」みたいな感じで話が済んでしまう、不思議なテレパシーみたいなものがありました(旦那とだってそんなことはあまりない)。普段も一緒にいるので、なぜか同僚からはEvil Twinと呼ばれていたし。笑


丁稚期間が終わり、私は学校に戻り彼女もイタリアに戻り、それからこの11年間で会ったのは、8年前にイタリアに行ったときにローマで本当に数時間会えたのと、5年前にニューヨークでやった私の結婚式の時だけ。その後も、べったり連絡しあうというよりは、細々とやりとりを続け、でも特にお互い何かあると、双子のテレパシー(?)みたいな感じでわかるので、「大丈夫?元気?」なんて絶妙のタイミングで手紙やメールで確認しあったりしていました。そして今回、またイタリアで、今度は彼女の結婚式でまた会えるなんて、とても嬉しい。


ミラノにいる間に、結婚式の準備や仕事で忙しい彼女とちょっと会い、そして彼女の友人で、式の立会人もつとめるGちゃんとボーイフレンドのA君を紹介してもらい、会場までは彼らの運転で連れていってもらいました。会場は、ミラノから車で1時間ちょっと行ったところにある、フランス国境にほど近い、トレ・ペリーチェ(Wikipediaではトッレ・ペッリチェって書いてあるけど・・)という山奥村です。物静かだけれど、結構話好きでもあるGちゃんと、ブロークン英語ながら一生懸命話をしてくれるお茶目なA君と、イタリアのことについて、仕事について、色んな話をしながらのドライブ。途中から雨が降り出し、村についたのは夜もとっぷり暮れてから。


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まるで1920年代にタイムスリップしたような、小さなこの村。小さいといっても人口は4,500人はいるそうですが、ここは、カトリック国イタリアにあって、ワルドー派と呼ばれるプロテスタント教会があり、プロテスタント系が住人の大半を占める場所でもあります。ワルドー派の歴史は古く、(細かいことはWikipediaへ)、マルティン・ルタープロテスタント運動を始める前から、ラディカルな宗派として活動していたようです。そんなんなので、その長い歴史の中では迫害もされていた模様。ベッちゃんとその家族は、このワルドー派の信者なのでした。イタリアでプロテスタントであることは、ものすごいアイデンティティであるらしく、その事については昔からさんざん聞いてはいたのですが・・・。


ホテルも無いような場所なので、教会のとなりにある「ホスピス」、教会を訪れる人達のための、ちょっと合宿所っぽいところに泊まりました。これは翌朝、そんなホスピスの窓から撮った写真。うーん、写真になるとちょっと雰囲気が・・・。


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ベッちゃんとピーポ君は、結婚式前の両家顔合わせで忙しいので、私たちはGちゃんA君と一緒に晩御飯を食べに行きました。ミラノはロンバルディア州ですが、ここはピエモンテ州。ご飯がこれまた美味しいところです。こんな山奥でもものすっごい素敵なレストランが・・・あったんですよ!その話はまた次回。