愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

 パパも登場


いよいよ明日、本番である。なんだかハイになったみたいに色々書いているが、今週の木曜日から日曜日の4日間で、本当に色々な経験をして、自分の中の音楽細胞がものすごい高速で細胞分裂をしている感じがする。フルートはあくまで趣味でしかやっていなかったので、レッスンも2週間に1度しか行かないし、仕事もあるし通勤時間も長いし、元来が怠け者なので毎日まじめに練習しているわけでもない。長年やっているわりに、普段の生活の中での音楽濃度は低い。そんな環境が、この数日間でいきなり濃縮1000%音楽漬けのようになってしまい、頭の中がぐるぐるしている。


昨日の練習ですこしへこんでしまったので、練習場に1時間前に入って練習。今日の練習には、なんと作曲家本人がお見えになった。グアテマラの作曲家ホルヘ・サルミエントス氏、御歳77歳。Youtubeのビデオで見るより頭が真っ白のおじい様。息子に支えられながら指揮台の上の椅子に座り、スペイン語でご挨拶をされた。「のだめ」にもあったけれど、なぜ音楽家がレコードジャケットやコンサートのチラシに載せる写真って、本人とこうも違うのだろう?チラシに載っている写真はおそらく20年以上前のものでは・・・(笑)


寒い寒い練習場に、こんなおじい様に座っていただいて練習を聞いていただくのは、風邪を引かないかと心配になってしまったが、フルートセクションの斜め後ろ、クラリネットセクションの横に、ハンチング坊をかぶり、マフラーとコートでぐるぐる巻きになりながら、ちょこんとお座りになり練習をじーっとお聴きになっているので、ちょっとまたびびってしまった。


今日はリハ最終日だけれど、パートによってはまだリズムや音程がうまく取れない部分などがあって、息子である指揮者もちょっとてんぱり気味。私は昨日のようなチョンボを本番で絶対やりたくない、せっかく与えてくれたチャンスだから楽しまないと・・と、緊張に負けないように自己暗示をかけて、なんとか乗り切った!お父ちゃんのホルヘさんは、自分の曲になると、後ろからスペイン語で、イゴールクラリネットのそこのリズムはたたーたったーたたーだよ!とか、ここのピアノはムイ・インポルタンテなんだから!とか色々駄目だしを開始。スペイン語わからないんだけど、音楽用語と雰囲気でなんとなく、何を言っているのかわかってしまうのがおかしい。でもそりゃ自分が書いた曲だから、作曲家本人に指導してもらうのが一番正解かもしれない。


初演になるブッダフォニアの演奏も、「どうでした?」との質問に「まあOK。でもピアノのここが云々・・・」とまた色々駄目だし開始。そりゃ私が入って演奏できるようなオーケストラだから、仕上がりや、オケの質には決して満足してないと思う。でもまあ、こればっかりは仕方ない・・・。


指揮者のイゴールさんは、演奏者に呼びかけるときに「マエストロ」と言う。「マエストロ、ここのリズムをこういう風にしてください、プリーズ」みたいな感じで使う。なんだかマエストロなんて非常に恐れ多いが、どんなにへぼくても(!)演奏者をリスペクトしている感じで、いい人だなあと思った。