愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

中途半端にかなう夢


真夏日でタンクトップでないと汗だく、という日があったと思えば、雨やら(山岳部では)雪やらざんざん降ってくるサンフランシスコ。これで風邪を引くなというほうが難しい。しかし今年もあとわずかと思うと、やり残したことが多い気がして、あれもこれもと詰め込みが始まる。なんとか仕事を片付け、会いたい人に会い、頼まれたことをやり、やりたいことをやり、やらなければいけないことをやる。


Mixiに書いたけど、年末に向けて某バンドのコンサートのお手伝いをすることになり、練習中。そこにきて、別のオーケストラでフルートが1人足りないので出てくれないかというお話をいただき、多少迷ったがお受けすることにした。本番は2回、でも1回目の本番までに残っている練習はあと2回。大丈夫なのか?とどきどきしながら、練習場に行ってきた。冬に入って初めての大雨(ベイエリアは冬が雨季)で、道路は大渋滞、よって練習には遅刻。うをーすみません!とあわてて練習場に入っていったとき、オーケストラが演奏していた曲は・・・「新世界」!!えええ、まぢですか?!もらった曲のリストに入ってないし、きいてないよ~!!


私の小学生からの夢は、オーケストラで「新世界」と「シェラザード」を演奏すること。どういう経緯かは忘れたけれど、この曲のカセットテープをそれこそ毎日毎日飽きもせずにききまくり、あまりに好きなのが高じて総譜まで買い込み、学校で給食を待っている間にもそれを見ては頭の中で音楽を再生していた。今考えるとやなコドモだが、そのときは本当に夢中で、今になると、あの時の集中力は何だったのだろうと思うくらいだった。でもそのおかげで、今でも「新世界」と「シェラザード」だけは、iPodがなくても、なんとなく記憶から呼び出して、頭の中になる音楽を再生して楽しむことができる。


それくらい好きだったので、いつかこれをオーケストラでやりたい・・・というのは、もう25年来ぐらいの夢だったのだ。そうしたら訳もわからず入っていったオーケストラの練習場で、いきなりそのチャンスがめぐってくるとは・・!1楽章が進む中、あわてて楽器を組み立て、楽譜をもらい、音楽に飛び込む。飛び込んだら、いきなり自分のソロパートがあってびっくりした。自分がいつかやりたかった部分。うわーでも心の準備が!聴くばかりで、演奏したことはなかったから、記憶と平行させてなんとかやった。どきどきした。オーケストラの人たちが、(のだめ風に)足でがんがん拍手してくれたのが嬉しかった。


おかしな話ではあるのだけれど、私が持っている具体的な夢は、いつも中途半端にかなう。オーケストラに入って演奏したい!という夢も、一昨年、弦楽器がほげほげしている素人オーケストラのピンチヒッターという形でかなった。某機関に就職して、世界を駆け回りたい!という夢は、学生時代に丁稚として組織に潜入する、という形でかなった。学生時代、一番行きたかったのかカリフォルニアの学校だったのだけれど、ことごとく落ちて、東海岸で唯一1校だけ受けたところに受かってそこに進んだ。卒業して、東海岸で就職して、結婚して・・そうしたら気がついたらカリフォルニアに引っ越してきていた。どれもなんだか100%ではないのだけれど、なんとなく違う形でかなってしまっている。


今回の「新世界」も、そんな感じだった。なぜならばー、本番では私はこの曲は担当しないことになっているから、なのだー!!今回、担当のフルートの人が練習お休みだったから、たまたま練習場の中だけでかなった夢。本番では私、別の曲でピッコロとかを担当します。しかしピッコロなんて、小学校6年生の時以来、一度も触っていない。フルートが吹けるからピッコロも同様に吹けるかというとそうでもないので、非常に不安ではあるのだけれど、うまいこと丸め込まれて(?)、楽器も貸してもらい、どんがらがっしゃーん!の現代曲だから、間違ってもわからんだろうと、ぴろぴろ吹いています。でもどういう形であれ、やはり音楽にかかわるのは楽しくて、幸せ。でもできたら、「シェラザード」を演奏するという夢だけは、100%ちゃんとかなってほしい。