愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

何度でも行きたい場所


DCに住んでいる頃、自転車に乗って良く行っていたのが、レーガン国際空港のそばにある「グラバリー・ポイント」。ポトマック川沿いにある、とっても便利なこの空港。飛行機が離着陸するのを、こんなに近くで見ることができます。ここの芝生に自転車をほっぽり出して、ごろーんと寝そべって、遠くからやってきた飛行機が地上に迫り来るのをずーっと眺めたりしていたものです。本当に高度の低いところから見えるので、ここ一帯での凧揚げは禁止されています(笑)。


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今回は、車でぴゅっと。


小さい時から乗り物酔いはするし、特に船なんて大嫌いなんですが、なぜか飛行機だけは乗るのも見るのも大好き。いつまで見ていても飽きません(今でも通勤には空港の横を通るので、それが楽しみ)。


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芝生でごろーん、もしたかったのですが、夕立が。夕立に遭遇するなんて何年ぶりのことか!みんながわあわあと車の中に逃げ込みます。


もうひとつ、今回行っておきたかったのが、ナショナル・ポートレートギャラリー。風景よりも人物のほうがとても好きな私にとって、このギャラリーはずーっと行きたいところだったけれど、私たちがワシントンに住んでいたころ、ちょうど大改装中でずっと閉まってました。再オープンは2006年、という看板を見て、うーん、その頃には私たちはここにはいないのでは?と何となく思っていたことが本当になり、再オープンの2年後にようやく訪れることが出来ました。


植民地時代から現代まで、芸術家、政治家、色々な分野の有名人そして市井の人々の顔、顔・・・肖像画や彫刻だったり、ポスターだったり写真だったり、その形は色々だけれど、人の顔って面白い。昔のいでたちをした昔の人でも、顔を見ると、あ、こんなおっちゃんそこらへんふらふら歩いてそうだな・・とか、あ、こいつ現代だったらヒッピーみたいな格好して自転車に乗ってそう・・とか、意外と人の「顔つき」って時代を超えて共通するものがあるような気もします。


その肖像画や写真が切り取った、その人の人生の中でのたった一瞬の瞬間。そして本人さえ覚えていないことのほうが多いであろう、普通の日常や感覚や時代の空気やいろんな要素が織り成す、その人の一生。そしてポートレートの横には、後の時代の人が書いた、2-3行に圧縮されたその人物の説明文。色々な時間軸が三つ巴になっているところが、またなんとも好きなところだったりします。


今回の展示では特にヒップホップ関連の展示が気に入りました。昔のヨーロッパの王侯貴族の肖像画やスタイルをモチーフにした、ヒップホップスターの肖像画。しかも油絵。なかなか壮観。特に我が家がジョギングのときによく聴いている、Ice-Tの肖像画は格好よすぎて大うけでした。スタイル的にも、ぎらぎらのヨーロッパ貴族の趣味とヒップホップは完璧なマッチングなのよね。


そして19世紀終わりから20世紀初頭のニューヨーク女性写真家、Zaida Ben-Yosufのスタジオで撮られたポートレートの数々。彼女が雑誌にポートレートと一緒に、スタジオ日記みたいな感じの記事を寄稿してるのは、ちょっと篠山紀信みたい?!


彼女がとったポートレートの中で、おまけみたいな感じでぺろっと壁に貼られていたものの、気になったのがイケメンの割に名前がいけてない、「サダキチ・ハルトマン」。気になったので後で調べてみたところ、1967年長崎の出島生まれ(パパがドイツ人)。その後アメリカに渡った詩人・批評家だそう。詩人ホイットマンと仲良かったり、写真に関する批評文や英語での俳句創作をはじめたさきがけでもあるそうな。そして何より彼に与えられた称号が「キング・オブ・ボヘミアン」というからさらに気になるな・・・。


そして今も昔も首都で繰り広げられる、大統領選にまつわる政治的あれこれ。リンカーン大統領の就任式の写真と、とてもとても短かったらしい彼のスピーチはそれを見るだけでも少し感動します。でもその後の晩餐会の大パニックぶりが笑える(腹をすかせた人達が食べものに群がったので、食べ物が床に飛び散らばって大騒ぎになったそうな)


このギャラリー、スミソニアンのひとつなので、もちろん入場は無料です。


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ジョージタウン。歴史と、おしゃれが混じったところ。綺麗で、インテリで、(アメリカの割には)どかーん!と歴史がある街。でもまた同時に、仕事でも、プライベートでも、どんなに自分ががんばっても、既存のエスタブリッシュメントとか、何か大きなものに自分のエネルギーがどんどん吸収されてしまって、自分らしく何かをすることができる、という場所ではなかったかもなあ、と、お気楽で何でもありのカリフォルニアで鼻をほりながら思ったりもする。