読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

愉快的陳家@阿拉米達島

ちょっと雑だが愉快な暮らし。サンフランシスコ・ベイエリア日記

 出ればタイソン、戻ればヒクソン

読書・書評


格闘技に興味はあんまり無かったのだけれど、アメリカでテレビを見るようになってしばらく、WWE(アメリカのプロレス)の試合を見ていた時期があった。すべてセットアップされているんだろうけれど、みんながそれを大真面目にやっている。そしてお客さんも巻き込んで、これはもう壮大な集団ボケになっているところにひどく感心した。とにかく格闘技は全てがドラマなところが素晴らしい。


[rakuten:book:12718134:detail]


病み上がりに読んだ一冊は、格闘技に魅せられた?著者がタイでムエタイのトレーニングをして、実際に試合に出ることから始まって、色々な格闘技にチャレンジしながら、戦うとはどういうことか、ということを考えていくものすごく面白い本。著者は実はハーバード出のお坊ちゃん、でもいろいろと思うことがあったのか、厳しい航海学校に入ったり、消防士になったり、極寒の地での建築作業員をやったりと、とにかく体を酷使する職業を転々とした経歴の持ち主。そんな彼が、異種格闘技のリングに実際上がったり、ブラジルでグレーシー柔術の道場に住み込んだり、陳家の地元オークランドのボクシングジムでチャンピオンとともにトレーニングをしながら、格闘技の世界やそこで戦う人たち、そしてトレーナーを取材したり、自分が実際にリングに上がった経験から、戦うことの心理に向き合ったりする。


シナリオがあるプロレスの世界と違って、どれもガチンコの世界。試合のその瞬間に精神的にも肉体的にもピークに達するようにもって行く作業は、ものすごくストイックな作業。体力の限界までトレーニングをしたりするから、免疫力のバランスが崩れるぎりぎりのところにいたりするさまはすさまじい。トレーニング中はそれこそお酒なんて飲んだら一貫の終わりだから、トレーニングが終わってもバーに行ってオレンジジュースを飲んだりするらしい。


面白いことに、日本は、こういった格闘家が認められて、実際にお金を稼ぐことができる数少ない場なんだそうで、K-1の話がたくさんでてきたり、実際にブラジルの柔術アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラと一緒に日本に行き、ノゲイラが出た大晦日のPRIDEの男祭りのエピソードもあって興味深かった。もうだいぶ前の話になるのだとは思うけれど、試合前に雪が降って新幹線が止まり、ノゲイラは試合前の選手紹介に間に合わなかったのだそうで、実は双子の弟をかわりにリングにあげていたんだって(笑)。


格闘技なんて、マッチョな筋肉バカの世界のことだと思っていたけれど、その裏のすごく深い世界を垣間見ることができる本。著者のお兄ちゃんのライティングスタイルがとても素直で正直なところもとても良い。カバーも格好いい。すごくお勧め。病み上がりで、1週間引きこもり生活を送って、心と体のバランスを自分でいかにコントロールするしていくことの重要性を実感したところだったので、余計にココロにしみる本だった。いつかK-1とかの試合を見に行ってみたい!