愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

テヘランでロリータを読む


Reading Lolita in Tehran: A Memoir in Books

Reading Lolita in Tehran: A Memoir in Books


アメリカの本屋に行っても、大抵どの本を買っていいのか解らないことが多くて、本屋で長い間ベストセラーに置いてある本を「ジャケ買い」することが多い。この本もずっと本屋さんの一番見えるところに並んでいて、読んでみようかなと思っていたら、旦那がどこからか拾ってきた(笑)。


革命の後のイランで、英文学を教えるイラン人女性教授の回想記。ベールを強制する大学に反発して教えることを辞めた彼女は、数人の女学生を家に招いて秘密の英文学講義をする。参加している女の子達は、政治犯として刑務所に入れられたり、希望しない結婚をしたり、色々な背景を持っている。英文学を読みながら、イランで女性として生きることの厳しさ、苦しみやフラストレーション、そして夢を語り合う…。イランに生きるインテレクチャルの生活と、ロリータや華麗なるギャツビーなどの英文学が織り交ぜて語られる本でした。著者の年齢は違うけれど、以前に読んだイランの少女の物語「ペルセポリス」と話や時代が重なります(id:Marichan:20051013)。


この本を会社の行き帰りに読んでいたので、仕事中に会社のデスクの上に投げ置いていたら、私のコンピューターを直しに来たテクニカルサポートのお兄ちゃんがこの本に気づき、面白かったかと聞いたのがきっかけで、イラン談義に花が咲きました。よく聞くとこのおにいちゃんもイラン人で、この本の著者は彼のガールフレンドのおばさんなんだとか!世界は狭い。ペルセポリスの話もしたら、是非読んでみたいというのでメールで教えてあげました。「3000年前のイランは、女性に育児休暇をあげるようなところだった。なのに革命の後、イランはどんどん近代化どころか退化してしまっているよ・・・」とのお返事。日本でも家の近所にイラン人の一家が住んでいたけれど、彼らもどんな苦境を乗り越えてこんなところにやってきたのか、今となっては知る良しもありません。


全然本題とは関係ないけれど、著者が迷ったり何か深く考えたり、混乱したとき、彼女が必ずアイスクリームにコーヒーをかけ、そしてナッツを砕いて上にかけて食べ始めるのが妙に印象的でした。自分では変えられない状況から逃げるために外国に行く・・・ということについては、外国に住む自分としても色々思う部分が多い。