愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

たっちーと過ごす週末:靴に入ったビールを飲む編


なにやらハッシュのにおいがするタイトルだけど、ここのところ仕事の帰りが遅いのでハッシュにはとんとご無沙汰。でもせっかく走り始めたたっちーだから、一緒に走る機会を!と、サウサリートからゴールデンゲートブリッジをわたり、クリッシーフィールドを抜けフィッシャーマンズワーフでゴールする12キロレースに3人で参加。最近ずっと走ってなかったので、いきなりの12K大丈夫かな・・・、と朝からちょっと緊張してしまったけれど、走り始めたら景色のいいこととお天気の気持ちいいので、そんな気分は吹っ飛んでしまった。たっちーは膝を痛めていて、前日薬局で膝パットを買い求めたのだけど、本当に痛そうだったので、途中からみんなでゆっくり歩いてゴール。でもお天気もよかったし、景色もきれいないいコースで、気持ちよかったよね。膝は一度壊すと、結構長く付き合わないといけないことになるから、無理せず、帰ったらちゃんとケアするんだよ〜。


レースの後は、クラムチャウダーにはまっているたっちーに、ちょっと別モノのチャウダーを味わってもらおうと、フェリービルディングにあるHog Island Oyster Companyへ。ここのチャウダーは、フレッシュなクリームを使っていてさらさらしている上に、殻に入ったままのクラムがどーん!と山盛りにされているのだ!!どちらかというと、クラムのミルクソース煮、といったほうが正しいか。レースの後疲れた顔をしていたたっちーが、クラムチャウダーと聞いて「クラムチャウダー!」と表情がぱっと明るくなったのがおかしかったとはダンナの後日談(笑)。ムール貝の白ワイン蒸しや、生牡蠣などもいただいた。


帰宅後急いでシャワーをして、午後はそのまま私のフルートの発表会へ。習っているところの発表会なので、コドモに混じってプロコフィエフ。ランナーでもある私のフルートの先生が、「多分12K走った後だと、アドレナリンがすっかり出切って、リラックスして演奏できると思うよ」といっていたのだけれど、そのとおり。もう気分はプールの授業の後の小学生のような感じでほよーんとしていて、発表会などどうでも良いキモチになった。でも待ち時間が長かったので、やっぱり最後はちょっと緊張して失敗した・・・。でも単なる自分の楽しみでやっている自己満足フルートだから、楽しまなきゃ損!と思ってもう気にしない。自分が楽しくて、それを聞くお客さんが一緒に楽しくなれれば、それが一番理想だけれど、でもまぁ、地道にがんばります。


隣で順番を待っていたもう一人のフルートのおばさんは、自分の番になるまでずっと緊張しっぱなしで、生あくびとため息と、水のがぶ飲みを繰り返していて、本番中もがたがたぶるぶる震えていてとっても苦しそうだった。そして舞台の上から、客席でちょっと動いた子供に対して演奏中に気が散ると怒り出し、演奏が終わったら私になにやら言い訳を言い始めたので、ちょっと可哀相になった。やっぱり演奏する人が苦しそうだと聞くほうも苦しくなるし、間違ってもテヘヘと笑ったほうが気が楽になる。素人の音楽会に2時間もつきあってくれて、たっちーありがとう!


走って、フルートも吹いて・・・となると、週末の締めはやっぱりたっちーとビールを飲むたっちーにビールを飲ませることでしょう!と、ドイツ料理屋さんへ。ハッシュのOn-Onで初めてきたこのレストランの名物は、ブーツの形をした2リットル入るビールジョッキ(ちなみにほとんどバケツサイズの5リットルのジョッキというのもある)。この話をしたときに、たっちーの顔がクラムチャウダー以上に輝いたのはいうまでもない。ソーセージにザワークラフト、ポテトパンケーキに鹿肉のロースト・・・とお料理を堪能しながら、たっちーは自分の座高以上の高さがあるグラスを両手でつかんでぐびぐび・・・。それを見たダンナの顔が恐怖で引きつったのはいうまでも無かった(笑)。大きなテーブルをシェアしていたゲイのカップルは、二人で静かにお誕生日を祝っていた様子だったが、二人で記念撮影をしつつも、こっそりビールを両手で抱えるたっちーを自分達の写真の背景にいれていたらしい。「背景に入ってるよ、ぷぷぷ」というので、じゃー送ってよ!といったら3人の写真もとってくれた。後でメールで送ってくれた写真は、たっちーが真剣な顔でビールを飲んでいる様子がばっちり写っている・・・(笑)


たっちーは何とこの後、トイレに行きつつ、1時間50分かけて2リットルのビールを一人で飲みきった。マラソンの世界新記録より30分ほど早いペースで、1日に必要なカロリーの約半分、そして2時間走るのに必要なカロリーを摂取したわけだ!


最初はみんなでご飯を食べながら談笑していたけれど、最後のほうは私達夫婦はビールを飲みおわり、食事も終わり、たっちーがビールを飲むのをただただ見守っているという図になった。周囲の客も、「これあなたが一人で飲んでいるの!」と声をかけてきたり、驚愕の目でたっちーをちらちらと見ており、彼女が最後の一滴を飲み干す栄光の瞬間に立ち会えることを期待しているのがよくわかる。これは記録に挑戦する重量挙げの選手を見守っている感じに近い。よし!とたっちーが気合を入れてブーツのつま先に残っていた最後のビールを飲み干したとき、どこからともなくロッキーのテーマが流れ、歓声が沸きあがり、レストランにいるみんなが興奮の渦に包まれた・・・わけではなかったけれど、みんなが関心していたことは間違いない。胃がぱんぱんだといいながら、たっちーは2リットルあけてけろっとしていたのだから。


家に帰ってたっちーはそのまま航空会社にリコンファームの電話をした。日本人のオペレーターに向かって、とっても丁寧にお話をしている。航空会社のお姉さんが、こんな夜更けにどこでこの電話を受け取っているのかはわからないけれど、お姉さん、この人ビールを一人で2リットルあけた直後に電話してるんですよ、しかもそのビールが入っていた入れ物といったら、滑稽な靴の形をしていたんですよ、と思ったらおかしくてどうしようもなくなってしまった。でもたっちー、少し酩酊していたらしい。その後は二人で大いに語ることとなったのだった。でも高校時代から、酒が無くても同じように語っていた気はするけどね。