愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ウルトラ・マラソン・マン


近所の本屋さんに行ったら山積みで売っていて、立ち読みしたらとっても面白かったオススメ本です。あまりに面白かったので図書館でリクエストして読みました(買わないところがケチ?)


普通の人ならマラソンを走るだけでスゴイ!と思ってしまいますが、アメリカでは100マイルレースという、山中の道なき道を、マラソン3回分、とにかくひたすら走り続ける・・という人間の体力の限界に挑戦するような恐ろしいレースがあったりするそうな。どうやらサンフランシスコの地元の人らしい「ウルトラ・マラソンマン」ことこの兄ちゃんは、幼少の頃から何十キロ離れたおばあちゃん家まで自転車でぷいっと遊びにいってしまったり、クロスカントリーの選手だったりと、もともと耐久レース向けの体力を有していたようですが、家族に悲劇があったりして、30歳の誕生日に俺の人生このままでいいのか・・と思い立って徹夜で走り始めたのをきっかけに、とにかくひたすら走り続ける男へと変身していく・・・・そしてそのすさまじい走りっぷりをオモシロ文章でつづった自叙伝です。


このおにいちゃん、100マイルでは飽き足らず、極寒の南極点までマラソンしてみたり、飛んでいる鳥が暑さで落ちてしまうという灼熱のデス・バレーというところで走って見たり、さらには2日間不眠不休で200マイルを一人で走ってしまうという、人間とは思えないような恐ろしいことをどんどんやってのけてしまうのです。しかし初めて50マイルを走り終わって、車に乗り込み帰ろうとしたときには体中の筋肉が硬直して、そのまま車のダッシュボード全体にゲロ噴射をしたり、レース中にも鳥目になったり靴が溶けたりゲロもゲリも経験しながら走り続けるさまはものすごいです。私が読み終えて今ダンナがこの本を目の前で読んでいるところですが、さっきからおげー!と叫んだりギャハハと笑ったりやかましい。


「なぜここまでして走るのだ?」というのがこの本のひとつのテーマになっているのですが、この兄ちゃんはマッチョな自己顕示の気持ちで走っているというよりは、自分が本当にどこまでいけるのか・・というマゾなき持ちでひたすら走っている感じ。そしてここまで走り続けて、全然怪我をしないのもスゴイなぁと(怪我をした身としては)純粋に感心してしまいました。でも、ここまで走ることができるのは、体力があるとか、すごいトレーニングをしているという以上に、彼の精神力のものすごさなんだというのが読んでいてびしびし伝わります。ウォーミングアップにマラソンぐらいの距離を走ってしまう彼ですが、不眠不休で200マイル走った後には子供たちと遊園地に行き、翌日には普通に会社に出勤、仕事も会社からレクサスをもらっちゃうぐらいバリバリこなすのです。とにかく何でもおろそかにしたくないから睡眠時間は4時間なんだとか。ひたすら集中力とアドレナリンで生きてるのかもしれないけれど、この本を読んでいたら、自分は精神力でも体力の面でも、多分彼の5%ぐらいしか使って生きていないな・・と思ってしまいました。でも逆に、もっと出力アップすれば、走るだけじゃない、人間ってもっと色々なことができるのかも!って勇気もわいてきましたよ。


彼のランニングメートの言葉としてこの本に書かれているこの部分に超共感↓

墓場にキレイな体のまま、安全に到着するための道のりを人生とはいわないのだ。むしろがんがんに体を使いまくって、ぼろぼろになって、最後に大声で「WOW! What a ride!」って叫べるのが人生っていうんだよ


最近は自転車できつい坂にあっても、この本を思い出すとなんとなく力が出てきます。最後に勝つのは、結局は体力の限界に打ち勝つというより自分との闘いに勝った人なのよね!


Ultramarathon Man

Ultramarathon Man


彼のものすごい走りっぷりは、こちらの方の日記も参考に!→id:TomoMachi:20050426