愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

 食事作法の文化


今日の夕食はシンプルにお味噌汁と焼きそば。ダンナはまずお味噌汁を全部飲み干してから、焼きそばにとりかかる。私はお味噌汁はご飯の合間に飲むので、味噌汁と焼きそばは同じタイミングで食べ終わる。そんな味噌汁だけ先に飲んじゃったら、それだけでおなか一杯になっちゃわない?という話から、文化による食べ方の違いの話になった。味噌汁一気飲み、これはダンナが陳家の普段の食事作法をそのまま日本食にも適用していたのだった。陳家では、毎回ご飯のときには、たくさんの中華料理のおかずのほかに、パパお手製のスープがつく。スープはお碗に入っていて、みんなまずはそれを飲む。それぞれのタイミングでスープを飲み終わったら、各自が勝手にキッチンに行き、そのお椀にご飯をよそって、さらにおかずと一緒に食べ始めるのであった。私は最初家族揃って食事したときにこれが結構驚きだったのだけれど、家によって、文化によって食べ方って違う。学生時代寮で一緒だったスペイン人の男の子は、みんながひとつのお皿に食事をよそっているのに、ハムとチーズ、野菜、お肉、と別々のお皿に盛ったあげく、そのお皿を自分の後ろのテーブルにおいて、順番に取り出して食べていたのを見たときにはさらに驚いた。(そして私は彼に「王子」というあだ名をつけた)フランスの家庭に数週間お邪魔したときも、たとえ食事が冷凍食品であろうとそれはコース仕立てになっていた。だから、ヨーロッパ人の友人たちに初めて寿司を食べさせた時も、皿の上に乗った寿司を見た彼らに、「この寿司はどのような順番で食べれば良いのか、特にこのガリはどのような位置を占めるのか」と真剣に訊かれて困ったことがあった。


日本食を食べるときは、やっぱり白いご飯を片手に、色々なおかずをまんべんなく食べるのが当たり前だよなー、と思っていたのだけれど、この間日本のニュース番組を見ていたら、最近の子供は「ばっかり食べ」をする傾向にあるそう。お弁当でも、ご飯ならご飯をひたすら食べて、そのあとでひとつづつおかずを食べるらしい。まるでコース料理を食べるみたい。でも日本食は白いご飯と一緒に食べるのが一番美味しいのだし(口中調味というんだそう)、ひとつのものでおなかを一杯にしてしまうのは栄養のバランスも悪くなる・・・ということが問題にされていた。どうしてこういうことになるかというと、食事作法をうるさく言う大人が回りにいなかったり、ひどいときには一人でご飯を食べたりする子供が増えているから、なんだそうだ。へー、そういうことも子供は大人に言われて覚えていくものなんだ。てっきり自然にそういう食べ方が身につくものだと思っていたので驚いてしまった。でも思えば私もまんべんなく食べろ、と家や学校でさんざん言われていたような気もする。


そんな話をダンナにしていたら、「あー、白いご飯とおかずを一緒に食べるのは中華料理も一緒だしね。口中調味というよりは、ご飯の上に乗せて食べるでしょ」。そう・・・でもね、それって日本の食事マナーではとってもお行儀悪いことなのよ。中華料理となると、自分のお箸でおかずをつついて、白いご飯の上にのせてわーっと掻きこむことが多いし、それで別にOKなんだけど、そのノリで日本食を食べてしまうとお行儀が悪いことになってしまう。もし自分たちにコドモができたら、「中華料理のときは何も言われないのに、日本料理のときは急に行儀が悪いとしかられる」という状況になったら結構混乱するものなんだろうなぁ・・・なんて思ってしまった。「ばっかり食べ」もしかりだけれど、特に多文化の中で生活していくには、こういうこともちゃんと意識して教えていかないといけないのか、自分では野生の動物が勝手に立ち上がることを覚えるように、食べ方も自然に身についたと思い込んでいたけど、実際のところ親っていうのは大変だなぁ、なんていう話になったのでありました。ちゃんちゃん。