愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

猫マニア


「吾輩は猫である」の謎 (文春新書)

「吾輩は猫である」の謎 (文春新書)

無人島に本を1冊持っていくとしたら、ベタではあるが多分漱石の「猫」を持っていくかもしれない。小学生の時から今までに数え切れないほど読み返したが、いまだに何度読んでもどこから読んでも、適度に笑え、そして考え、文章を味わい楽しんでいるから、無人島に行ってもそれは変わらなそうで丁度良い。私の小学生の時の「家庭学習帳(何か毎週自由研究をやってくるみたいな宿題)」には、「猫」のパロディを書こうとした形跡がある。「吾輩は吾輩である」というありがちなタイトルで、主人公は苦沙弥先生の孫にあたる珍野ハックション先生である。「猫」が売れてから珍野家では猫を飼う伝統になっていて、猫は「吾輩」と名づけられている。ハックション先生はまた型を押したように学校の先生である。しかも現代の学校の先生だから明治時代より余計分が悪い。胃弱ではないが、猫アレルギーと花粉症で四六時中ものすごいくしゃみをし、ラッパのような音で鼻をかむ。アレルギーは死ぬような病気ではないから同情もしてもらえず、猫をどこかにやりたいが、それもできずにいつもイライラしている・・・というような話だった。そこまで書いて飽きてしまってやめた。ところでうちの父も「猫」好きである。私も父も、何をしても飽きっぽいところが苦沙弥先生に似ているようだ。そんなことを覚えていたのか、家からこんな本が送られてきた。この作者も「猫」好きのようであるが、猫の謎は解き明かされず、明治時代のトリビア本であった。