愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

やがて哀しき中国語


北京語の勉強は数年間で結局通算1年未満ぐらいしかしていないので、なんとなく人の話は聞けても(ダンナはアメリカ人の前で秘密の話をしたいときなど急に北京語にスイッチするのである)しゃべるのはへぼんへぼんである。マンハッタンで職場からアパートに帰ろうと歩いていた数年前のある夜、救急車と警察の車がたくさん停まっていて、その周りに人だかりがしているのに遭遇。おお!なんだ!と救急車のサイレンのぼんやりとした赤いライトにひきつけられる蛾のように、ついつい野次馬根性ですぅ〜っと引き寄せられる。周りを囲んでいるのはそこらへんのデリなどから出てきたヒスパニックのおっちゃん達ばかりであったが、おっちゃん達にまぎれてふと立ち止まって見ていると、警官が必死の形相で私に一直線に突進してくるではないか。


「ちょっと!君何人?」「はっ、えっ、日本人ですけど・・・」「じゃあ中国語しゃべれるか?!」「はぁ?日本語しかしゃべれませんよ・・」「いいから来て来て!通訳してくれ!わかるかもしれないから!」「ハァ?!」と警官に腕をつかまれ連れて行かれたのはドア全開の救急車の中!!血は出てないが中国人らしき兄ちゃんが土色の顔をしてしなびた雑巾のようにぐったりしているではないか。「ヒェェ〜〜〜コワイ〜〜」「英語が通じないんだよな・・・どうにかならないかね」と期待する警官・・・。うーむ・・当時ヒステリー上海老師に北京語習っていた私、ある限りの中国語の知識を総動員し、担架に死んだようになっている兄ちゃんに「美しいピンイン」で言えたのは・・


「に・・にーしぇんてぃーはおま?(お体の調子は良いですか?)」


(兄ちゃん)「・・・・・・(反応なし)」 
(私)「(パニック!)だめだよ〜私日本人っていったじゃんか!」(警官)「そうか、やっぱりダメか!!!」そうかってなんだよ!アジア人だからって言葉通じるわけないじゃん!あ、後で考えたら筆談という手もあったかも・・・っていうかほんとに中国人か、この兄ちゃん?っていうか、死にかけてないか、この兄ちゃん・・・。がっくりうなだれて赤いサイレンにぼんやり浮かぶ現場を後にしたのでした・・・