愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ジャズ


ブランフォード・マルサリスのジャズを聴きに近所のジャズクラブへ。ご飯も食べられるところで、狭いところに80人ぐらいきゅうきゅうと座る。30ドルぽっきりで前のかぶりつきに座り、マンハッタンなど飲みながら1時間半ほどジャズを楽しむ。なーんてかっこよく書いているけど、もう演奏が始まったらすごかった。超一流のカルテットの迫力はさすがだったが、何がスゴイって、プレイヤー全員、演奏中はどこかにイッチャッテルのである。丁度目の前にいたドラマーのおっちゃんは、裸の大将とゴリラを足して2で割った感じであるが、もうこのセッションだけで2000キロカロリーぐらい消費しているのではというものすごい運動量。しかも口はずっと半開きで目は焦点が合ってないままものすごい勢いでドラムを叩くのである。ベーシストの兄ちゃんはというと、「ああ、ぼくもうイッちゃいそう・・」といわんばかりの表情で、まるでベースを使ってマスターベーションをしているようである。そしてピアノの兄ちゃんはものすごい勢いで両足を宙でぶらんぶらんさせてリズムを取りながらピアノをひき、そして何故か目はぼんやりとベーシストの恍惚の表情に釘付けである。と思ったらたまに素に戻って客席をじーと見る。と思ったら誰に向かってか急ににたーっと笑ったりするのである。当のマルサリス氏は一番正気を保ちながら、気持ちよさそうにばりばりぶりぶりサックスを吹きまくっていた。みんなが違う方角にイッちゃってるようで、一つの物凄いエネルギーを持つジャズになっているところがすごかった。


結局やった曲はアンコールも入れて5曲ぐらい。ドラマーのおっちゃんの死んだ犬で人のケツを噛むジョジョのことを歌った曲、東京のブルーノートに演奏しに行ったら、有無を言わさず食事で出されたのが、アメリカでは考えられないほど小さなフライドチキンだった(多分唐揚げだったのでしょう)という思い出の曲「チキンボール」、ベースの人がネイティブアメリカンの本「Black Elk Speaks」という本を読んでうお〜!と書いたという、フランス人に言わせると「Tres tres agressive」だという曲「Black Elk Speaks」など。特にこの「Black Elk Speaks」は途中でリズムがアクセレレートするところが滅茶苦茶格好よい。それまではお客に「ベースがきこえないよ〜!」なんて言われながらも、おとなしく、でもイキそうになりながらベースを弾いていた兄ちゃんであったが、最後の最後でとうとう爆発してしまい、ベースをびゃんびゃん弾いたかと思うと弓でもってベースを弾くんではなくてつついてみたり、最後には横にあったピアノまで弓でばしばし叩いたり、マイクがひっくり返りそうになるくらいベースを上下にさすりだし、最後には「うお〜!うお〜!」と絶叫していた。とうとうイッテシマッタらしい。するとドラムの山下清画伯も一緒になって「うお〜」と叫びだした。もう動物園状態である。ジャズを始めて生で聴いたダンナは本気でおびえていました(笑)。アンコールの時にはきっと精力尽き果てたのでしょう、ベースは別の兄ちゃんに代わっていた(笑)。毎晩毎晩こんなハイな演奏ができるなんて、何て幸せなんだろう・・・・と一流どころを目の前にうらやましくなってしまった。日曜の夜遅くに一緒にハイになれて楽しかった。外に出たら演奏が終わって目の焦点がようやく合ったドラムの大将がいたので、バイバイして帰ってきた。