愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

ドーナツかセックスか


ボートのチームメイトJ君がカリフォルニアに引っ越すのでお別れ飲み会に参加する。飲み会といってもおしゃれなラウンジみたいなところで勝手にドリンクをオーダーする。薄暗いから人の顔も見えないし音楽がうるさいからしゃべっても聞こえない。行きたくなかったが、一応礼儀として参加。案の定着いたころにはチームメートはほとんど帰っていた。100人にメールを出して参加したのは30人、でも集まっている人もぼんやりしていて超lame, lameなパーティー。ビール、ワインなど発酵系アルコールだとあっという間に酔っ払ってしまうが、なぜかウィスキーやらバーボンやら蒸留系は平気なので、安いのをいいことにマンハッタンだマティーニだと飲んでいい気持ちになる。J君は博士号を取るべく大学院に行くのだが、ここ数ヶ月会うたびに「博士号をとってもその後何していいのかわからないョ」を繰り返している。今回も会うなりまったく同じことを言うので苦笑。しかしシンクタンクで働くには修士号だけではぜんぜん足りない。ハーバード出の彼でも年収は350万円くらい。でもこれで博士号を取ってしまったら、それこそ狭いDCのループから脱け出せなくなるだろう。酒をあおって結局30分ぐらいで出てしまう。でもそれと共にみんな散会したらしい。


デュポンサークルにDC初のクリスピー・クリームができた。ここ数週間、みんなその話で持ちきりで、開店準備中の店のウィンドウは店先を覗く人の手形や顔の脂でとってもキタナクなっていたくらいだった。給食の揚げパンが一番キライなメニューだった私は、ホーマー・シンプソンがなぜあんなにドーナツを愛するのか理解できなかったのだが、クリスピー・クリームのドーナツはアメリカでも他のドーナツとは「分けて」語られるほど別格なのである。まず宣伝をほとんどしていない。レシピも秘密。ダンキンドーナツと比べても、店舗も少ない。でも店頭で作られるドーナツは、「砂糖と空気を食べているような」感じで一度食べたら忘れられない、らしい。ちょっと前にクリスピー・クリームが株式上場したときにはえらい騒ぎになっていたくらい。火曜日のオープンの日は早朝から並んで一番乗りの人にドーナツ一年分がプレゼントされたのだが、朝からものすごい人が店を囲んでいた。笑えることに一番乗りした人はオーソドックス・ジューイッシュの人で、クリスピー・クリームのドーナツはすべてコーシャー(ユダヤ式にお祈りしたり処理したりした食材)じゃないからもらっても食べられないらしい。


Lameなパーティーを脱け出して、お慰みにドーナツでも・・・と店に行くと夜中なのに大混雑。匂いは日本のミスドみたいな感じであるが、なぜか店にいる人たちの顔がみんなにやけている。それもそのはず・・ショーケースに並ぶドーナツはぴかぴかつやつや光っているのでアル。そして狭いフロアの後ろではさらに揚げたてのドーナツがガンガン運ばれてくる。それをみんな12個とか箱買いしていくのであるが、横を見ると衣装ボックスぐらいの箱に20個ほど詰め込まれたドーナツを、野獣のように食い漁っている大学生が二人。そしてアメリカ在住7年目にしてドーナツを買いにくるオマワリサン、というのをはじめて目撃!バナナの皮で滑って転んだ人を目の前で見るくらいの快挙!!!!!店の中にいるたくさんのお客は並んでいるのだと思っていたら、ただただショーケースに見とれて何を選んでいいかわからない軽い錯乱状態に陥っているらしい。みんな「お先にどうぞ」とめちゃめちゃ笑顔である。


注文したら裏から揚げたてを持ってきてくれました。で・・・ドーナツですが・・・・Ohmygoooosh!!!
ちょっと奥さん!!!!!!!何!何なのこれは!!!!!
こりゃドーナツじゃないよ!ほんとに砂糖と空気だよ!だんなと私はたった一つのドーナツを、Ahhhh! Ohhhhh!と理性を失いおかしなうめき声を上げながら奪い合うようにして食べたのでした・・・・。旦那が最後に一言「1年間、セックスと引き換えにクリスピークリームを毎日食べられるとしたら、どっちをとる?」う・・・・・・迷う・・・・・・


お試しあれ。人生観変わります。


DCの地下鉄は飲食禁止、フレンチフライを電車の中で食べていた女の子が手錠をかけられてしまったというシンガポールなみに厳しいところですが、このドーナツ屋が駅前にできたので、駅で食うなと写真のような看板が立っていた(笑)