愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

Da Vinci Code by Dan Brown


「読書の秋」ではなくアメリカではなぜか読書は夏のアクティビティ。夏休みが長いから、旅に読書、海辺で読書、ということになるのかもしれません。ミラノ在住のEvil Twinベッティーナちゃんは、夏休みといえば、山奥の、それこそ電気も水道もないコテージに、段ボール一杯の本を抱えて行き、そこでひと夏を過ごしたりするんだそうです。いいなぁ。サマーリーディングはやっぱり軽いペーパーバックでさくさく読めるものがよろしいみたい。友達が読み終わったペーパーバックを紙袋一杯にくれたので、今月はしばらくそれを読むことになりそうです。


アメリカで大人気のミステリーもの(?)、Da Vinci Code、まずダンナがはまり、その後しばらくは「聖書の謎」系の学術書までわざわざ買って読んだりと大騒ぎだったのですが、それをさめた目で見ていた私に、「おまえもはまれ」とばかりに図書館でわざわざ借りてきてくれました。前作の「Angels and Demons」(id:Marichan:20040416)はアクション系で面白かったですが、こちらは「イエスキリストの神格化で歪められた真実」にせまるというもので、アクションはそんなにないものの、深い。思えば、日本で「伝統」と思われているものも、実は明治時代、近代日本という国を作るにあたって、政府が引っ張りだしてきたものだった、っていうこともあるし。Conspiracy Theoryは面白いとは思うけど好きじゃない。でも歴史というのはあくまで勝者が作ったある意味フィクションであるというのは賛成。


Da Vinci Codeを破る」系の反論本も出るなど、この本は物議もかもしているみたいですが(そういえば昔々日本でも「人麻呂の暗号」という本がありましたね・・・)、この本は別に何かをひっくり返そうとして書かれたものではないのでは、という気もしました。結局、聖書に書いてある事実が本当と違ったとしても、それで救われている人がいるのであればそれはそれでいいんじゃん、と主人公も言っているし。でも教会とか政府とか、オーソリティが作り上げた退屈な文化や伝統の裏には、本当はこんなリッチなものが詰まっているというのを知るのは楽しい。