愉快的陳家@阿拉米達島

ちょっと雑だが愉快な暮らし。サンフランシスコ・ベイエリア日記

カフェ 


「カハワ」と呼ばれるカフェはモスクより人気の憩いの場。カイロ中いたるところにあり、変なカフェもいっぱいある。「病人カフェ」はいろんな症状の病人が集うところ。みんなリラックスしてコーヒーを飲んだり、水タバコを吸ったりするのは他のカフェと同じだけど、新顔の客が来ると一瞬緊張が走る。もし新顔が、常連客と同じ病気もちだとわかると、「おんなじ病気さげてぼーと突っ立ってからに、出てかんかぼけー」と表情だけで追いやられる。


でも戸口に白衣を着た人が立つと話は別。「あーせんせ、よう来はったな〜」でも彼は医者ではない。病人の挨拶を軽く受け流しながら、メモを読み上げる。「えー、甲状腺腫ひとり、心臓疾患ひとり、のう胞は二人たのむわ。・・・あれ、肝臓のオマールはどこ行った?」「ハサバラー先生の授業やと思うわ。4時には戻るで」「じゃあ後で来るように言うたって」


残りの呼ばれた病人は、やれやれと出勤するサラリーマンのように椅子から立ち上がり、アパートの一室に向かう。向かいの通りにある大学病院はタダだけど、設備が悪いので、学生はお金を払って医者に実際の患者を見せてもらい実地訓練をする。病人カフェの客は、そこに呼ばれる「プロの病人」というわけ。特に色々な合併症状を「誇る」病人の稼ぎは悪くない。肝臓のオマールは、医者もほれぼれするような、完璧な進行型住血吸虫症患者なのであちこちでひっぱりだこ。特にエジプトの田舎では深刻な病気なので大人気である。


こんな「Professionaly sick」な人達は自分達の仕事に誇りを持っている。たいていは半端な医学生よりも症状について知識がある。字を読んだり書いたり出来ない人でさえ、英語の医学用語ならぽんぽん言えてしまう。医学生は患者を使った実地テストの時、プロの病人のポケットにそっと5ポンド札を滑り込ませると、プロの病人は「正解」をそっと教えてくれる。「ほら、糖尿なんやから、水をようけ飲むか聞かなあかんで。」「心臓疾患や。乾いた咳やで。それから、呼吸困難と、肝肥大もあるよってに、忘れんときや」


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エジプトに長く住むアメリカ人ジャーナリストの本。前半はピラミッドだ何だと4000年の歴史から語ろうとするので歴史の教科書を読んでるようでつらい、でも現代になると自分の周りの面白話炸裂でとばすとばす、妙にアンバランスな本。イスラム原理主義があると思えば難波アキンド道に通ずるものがあったり、エヂプトは奥が深い。もうこれはいつかカイロに行ってボケツッコミを修行するしかないな。