愉快的陳家@倫敦

ロンドンで、ちょっと雑だが愉快な暮らし。

 ザ・スコット・フィッツジェラルドブック By 村上春樹


私が幼少の頃に家に「ノルウェイの森」とこの本があり、読もうと手を出したところで母親に「これはコドモが読むものではありません」と禁書処分にされてしまった。アメリカに来てからノルウェイの森を読み、「ふーん」と思ったのだけれど、こちらの本は最近になって手をつけた。


読んでいて、フィッツジェラルド本人よりも奥さんのゼルダに興味を持ちました。フラッパーと呼ばれ、バカ騒ぎに明け暮れ、フィッツジェラルドのインスピレーションとなり、彼は彼女の言動を元に小説を書いていく。彼が彼女を題材にした小説でどんどん名声を得るのに対して、彼女に残るものは何もなし。でも小説を書いてみたり、最後には精神を病んでしまうほどバレエに打ち込むものの、彼女のやることはどうしても「アマチュアとして一流」で止まってしまい、プロにはなれない。この「アマチュアとしては一流」という言葉はなんだか非常に痛い。いててて。


1920年代の「神経病的な」ニューヨークのガイドブックもぜひ読んでみたいものの一つ。そして、村上春樹がスコットとゼルダの一連の行動やふたりの関係を分析するあたり、彼の人を洞察する力って、結構怖い・・・くらいすごいな、と思ってしまいました。


二人のお墓はメリーランドのロックビルにあるそうな。ちょっとメトロに乗ったらいけるところ。彼がそこを訪ねる場面があるのだけど、読んでいると、今のロックビルとはだいぶ違う佇まいだというところもなかなか興味ぶかかったです。